公務員の学歴・経歴

地方公務員に学閥はある?【元県庁職員が解説します】

はじめに―地方公務員の学閥について―

公務員の出世に学歴は関係あるの?

特定の大学出身の人が優遇されたりしない?

会社や役所などの組織では、特定の大学出身者だけで派閥が作られることがあります。
いわゆる「学閥」というやつです。

学閥があると、能力や業績に関係なく出世しやすくなったり、不祥事を起こしてももみ消されたりといった「優遇」が横行する恐れがあります。

では、地方公務員の世界にも学閥は存在するのでしょうか?

この記事では、県庁職員として働いていた経験をもとに、地方自治体内部の「学閥」の実態について解説していきます。

学歴や出身校による露骨な差別・優遇はない

結論から言うと、地方公務員の世界では、学歴や出身校によるあからさまな差別や優遇はありません。
つまり、学閥は存在しないと言っていいでしょう。

たとえば、「〇〇大学出身でないと部長以上にはなれない」とか「〇〇課の課長のポジションは〇〇大学卒でないとなれない」みたいなことは、(少なくても僕のいた県庁では)一切ありませんでした。

もちろん、試験区分(「上級」や「初級」など)の違いによって出世のスピードには差が出ます。
しかし、同じ試験区分なら、どこの大学出身だろうとほとんど関係ありません。

具体的な事例を紹介しましょう。

時事通信社が運営している「iJAMP」というサイトがあります。
行政に関する情報やニュースを専門に配信しており、おそらくほとんどの公務員が登録しているサイトです。

このサイトには「人事検索」という機能があり、各自治体や中央省庁の幹部職員の経歴・学歴を調べることができます。

以前、僕の勤めていた県の幹部職員の経歴を調べたことがあるのですが、出身大学は皆バラバラでした。
特に、当時の副知事が比較的マイナーな大学(とはいえ国公立ですが)出身だったのが印象に残っています。

このことからも、学歴(出身大学)は出世にほとんど影響しないことがわかると思います。

もし現役の公務員の方などで「iJAMP」に登録しているのなら、ご自身の勤める自治体の幹部の経歴を見てみると面白いかもしれません。

同窓会的な集まりはある(特に高校の)

出世と出身校に直接の関係はありませんが、僕のいた県庁では、一部で同窓会的な集まりはありました。
たとえば某有名私立大出身の職員は、年に一度くらいホテルの会場を借りて「〇〇県職員〇〇大学同窓会」的なものを開いていたようです。

ちなみにその大学出身者の人数は、地元の国立大卒の人を除くとダントツで多かったです。
同窓会が盛んだったのはそのためだと思います。

ただし、参加は強制ではないため、不参加の人もたくさんいました(特に若手の職員は)。
とはいえ、同窓会には大学OBの県内の市長や県議会議員など、お偉いさんも結構出席していたようで、若手には関係なくても幹部は実質強制参加だったのかもしれません。

ちなみに、同窓会的集まりは、大学よりも高校単位のものが多かった記憶があります。
というのも、県職員は地元出身の人が多いだけに、同じ高校出身の人がたくさんいるからです。
これは全国から人が集まる国家公務員や大企業にはない特徴ではないでしょうか。

特に、県職員は比較的高学歴の人が多いので、地元の進学校の同窓会が盛んでした。

こうした同窓会に参加したからといって、直接出世などに影響するわけではありません。
ただ、他の部署の職員と人脈を作れることで、多少仕事がやりやすくなるというメリットはあるかもしれません。

ローニン
ローニン
ちなみに、僕は高校も大学も、県庁の中ではわりとマイナーなところの出身だったので、同窓会的な集まりは全くありませんでした(いわゆる「傍流」というやつです)。

採用試験の成績は多少関係する

出身校よりも出世に影響しやすいのは採用試験の成績かもしれません。

というのも、採用試験で好成績だと、若手の内に出世コースとされる部署に異動する可能性が高いからです。
少なくとも、僕のいた県庁ではそうした傾向がありました。

ただ、出世コースの部署にいても、仕事ができなければ次の異動で出世コースから外れてしまいます。
あくまでも出世への取っ掛かりになる程度です。

採用試験で上位の成績を収めるのは、高学歴の人がほとんどです。
そのため、見かけ上高学歴の人の方が出世ルートに乗りやすいイメージが生まれるのだと思います。

僕のいた県庁の例を挙げると、東大出身の人が財政課に異動しやすい傾向がありました(あくまでも噂として聞いた限りですが)。
ただし、これは大学による優遇というよりも、採用試験の成績が良い人が財政課に行きやすく、試験で好成績の人の多くは東大卒だからだと思われます。

まとめ―学閥や学歴はほとんど気にしなくていい―

今回は地方公務員における学閥について、僕自身の経験を踏まえて解説してきました。

まとめると以下のようになります。

  • 地方公務員の世界では、学閥はほとんどない
  • ただし、OBの多い学校の場合、同窓会的な集まりは結構ある(特に高校)
  • 出身校よりも採用試験の成績の方が出世に影響するかも
ローニン
ローニン
地方公務員で出世を目指すなら、採用試験から頑張った方が良いかもしれませんね。

最後に付け加えておくと、以上はあくまでも僕の勤めていた県庁での話です。
自治体によっては学閥が強固なところや、採用試験の成績が出世に影響しないところもあるかもしれません。

ちなみに、こうした話題は飲み会などのインフォーマルな場で話されるのがほとんどです。
勤続年数の長い上の世代ほどこうした内部事情に詳しいので、話題に困ったら聞いてみると面白いかもしれません(笑)

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。