公務員の休業・休暇

公務員にお盆休みはある?夏季休暇の実態を解説

多くの会社員には、短いながら夏休み(お盆休み)があると思います。
まさにこの記事を書いている8月中頃がそうでしょう。

では、公務員にも同じように夏休みがあるのでしょうか?

今回は、元県庁職員の僕が公務員の夏休み事情について書いていきます。
公務員の休暇事情に興味のある方は読んでみてください。

公務員に「お盆休み」はない!でも「夏休み」はある

結論から言うと、公務員には夏のある時期に一斉に休むという意味での「夏休み」はありません。
世間一般で言うところの「お盆休み」はないということです。

というのも、役所の窓口などはお盆の時期でも開けていないといけないからです。

しかし、夏休み自体がないわけではありません。
たいてい年次休暇(有休)とは別に、7月~9月の間に5日前後、夏季休暇を取得できます(6月から取得できる自治体もあり)。

たとえば東京都は、「夏季の期間(7月1日~9月30日)の心身のリフレッシュ等のための休暇」として5日以内の夏季休暇を定めています(東京都人事委員会「職員の勤務条件(勤務時間・休日・休暇)」)。

なお、国家公務員だと付与日数は(連続する)3日間です(人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇))。

帰省したり旅行に行ったりする際、お盆の混雑した時期を避けられるので決して悪くない制度だと思います。
それにお盆の時期に出勤する場合、窓口や電話業務が少ないのもうれしい点です(笑)

ただし、好きなように夏休みを取れるわけではない

このようにうま味のある(?)公務員の夏季休暇ですが、100%自分の都合で自由に取得できるわけではありません。

同じ班や係の職員が一斉に休むと業務が回らないので、事前に誰がいつ休むかスケジュールを調整します。

基本的には、役職や年次が上の人から順に休みの予定を入れていくので、下っ端の職員ほど選択権はなくなっていきます。

また、自治体によっては連続での取得を推奨していますが、現実問題として5日も連続で休むと仕事が回りません。
僕のいた県庁では、長くても3日連続が限界といった感じでした。

もちろん、あまり忙しくない業務の担当で、かつ仕事の進捗を完璧に管理できる人なら連続で5日取得することも不可能ではありません。
その場合、前後の土日も合わせて9連休にできます。

ただ、これはかなりレアケースなので、実際には1~2日ずつこまごまと取得する人が大半でした。

激務の部署(担当)だと「カラ夏季休暇」の職員もいる

自治体によっては、夏季休暇をフルで取得することが義務付けられている場合もよくあります(僕がいた県庁もそうでした)。

しかし、非常に忙しい部署だとなかなか夏季休暇を取得できないのも事実です。

7~8月になかなか休みを取れず、やむなく9月にまとめて取得するパターンもありますが、のんきに休んでいると9月中にやるべき仕事を終わらせられません。

そんなときに繰り出される裏技があります。
カラ出張ならぬ「カラ夏季休暇」です。

具体的に言うと、勤怠管理上は休暇となっているものの、実際には仕事をするというグレー(ブラック?)な行為のことです。

もしくは、夏季休暇はしっかり取得するものの、土日に出勤する変則パターンもあります(僕も忙しかった年にはこのワザを使ってしまいました)。
いずれにせよ、実態としては夏季休暇の日数分休んでいることにはなっていません。

このあたりに、表面的な体裁を何とか保とうとする役所の悲哀が感じられます…。

ローニン

もちろん、休暇を返上してまで働いている職員の方には本当に頭が下がります。

夏季休暇を取るときは事前に関係者に連絡を

夏季休暇を所得する際には、仕事で関係する職員には事前に伝えておきましょう。

同じ班や係の人はもちろん、普段頻繁にやり取りする他の部署、役所・会社の担当者にも伝えておくのがベターです。
電話や対面でやり取りしたついでに口頭で伝えても良いですし、メールで伝えておくのもありです。

こうしておくことで、たとえば「急ぎで確認したいことがあるのに連絡がつかない」みたいな事態が起きるのを避けることができます。

また、自分の担当する業務で他の人でも最低限対応できるものがあれば、事前に対応方法などをレクチャーしておくと良いでしょう。

休暇を取るのは立派な権利ですが、(社会人のマナーとして)仕事が滞らないよう最低限の配慮や準備はしておくべき、ということです。

まとめ

今回は、公務員の夏休み事情について、自分の体験も踏まえつつ解説しました。
まとめると以下の通りです。

  • 公務員には「お盆休み」はないが、7~9月の間、数日間の夏季休暇を取れる。
  • ただし、他の職員のスケジュールや仕事の進捗などの関係で、100%自由に取得できるわけではない。
  • 激務部署の職員を中心に、「カラ夏季休暇」もよく見られる。
  • 夏季休暇を取る際には、できれば事前に関係者に連絡を。

ちなみに、年末年始は普通の民間企業と同様、12月29日~1月3日までまとまって休めます。
ただし、激務部署の場合は年末年始も(自主的に)休日返上で働く可能性もなきにしもあらずです…。

このあたりは本当に運に左右されます。

それはともかく(?)、これから公務員になる方の参考になれば幸いです。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。