安定した収入や社会的信用の高さなど、公務員として働いていると良い面が色々あります。
しかし、反対に「勘弁してくれよ」と思うことも多々あります。
そのうちの一つが、「営業・勧誘の多さ」です。
もちろん営業する側ではなく、「される側」の話ですが。
不動産投資や保険など、公務員にはありとあらゆる営業のお誘いが来ます。
あまりに頻繁に来るので、営業マン恐怖症になるレベルです。
今回は、元県庁職員の僕が、公務員にアプローチしてくる営業の実態や対処法などを、自らの実体験をもとに書いていきます。
公務員に近づいてくる営業のパターン(業界)4選
公務員に接近してくる営業を業種別に分けると、主に以下の4つがあります。
- 不動産投資
- 保険
- 投資信託
- 旅行会社・ホテル
①不動産投資
最も多いのが不動産投資の営業です。
ほとんどの場合、職場の電話にかかってきます。
内線電話の番号や職員の氏名・配属先がどこかから漏れているのでしょう。
正直、これだけで嫌悪感MAXです。
不動産営業の電話では、いきなり商品説明から入ることはありません。
今のご時世、預貯金だけでは金利がつかないので、賢い資産運用をしないといけませんよね。○○さんは老後の資金に不安はありませんか?そこでマンションへの投資を…
こんな感じで、言葉巧みに投資を誘ってきます。
営業電話だと気づいたタイミングですぐに断るべきですが、相手が一方的に話し続けるのでなかなか電話を切るタイミングが分かりません(断り方については後ほど解説します)。
ちなみに、何度も営業の電話を受けていると、電話に出た瞬間に(悪徳)不動産営業だと気づけるようになります。
不動産投資の営業マンの口調には、特有の「チャラくて胡散臭い」雰囲気があるからです(笑)
②保険
保険の営業も頻繁に来ます。
こちらは電話ではなく、直接職場に来るパターンが多いです。
いわゆる「生保レディ」による営業です。
昼休みや定時後に現れることが多く、雑談やアンケートのお願いなどをきっかけにこちらの懐に入ってきます。
あまりきつく断るのも申し訳ない気がしたので、やんわりと断り続けていたらやがて来なくなりました。
県庁職員の場合、生協の保険の営業も頻繁にやってきます。
僕も県庁に入ってすぐ、生協の保険営業のお姉さんから猛プッシュを受け、「県庁生協ならまあいいか」と思い契約してしまいました。
け、決して営業のお姉さんが美人だったから契約したわけではありません。
まあ、そのおかげで他の保険の営業を断る口実はできましたが。
③投資信託
不動産や保険に比べると頻度は少ないですが、投資信託など金融商品の営業も来ます。
こちらは職場に直接来たり電話してきたりするのではなく、銀行や郵便局に手続きに行くと勧誘されます。
特に、預貯金の額が増えるほどアタックされる可能性は高くなります。
僕は某大手金融機関の口座に200万円以上預金していた時期がありましたが、その銀行の窓口に行ったとき「投資信託を始めてみませんか?」と猛烈なプッシュを受けました。
ものすごく事細かく説明してきて、パンフレットまでもらったのですが、「一度家に帰ってから考えます」と言って、何とかその場を切り抜けました。
④旅行会社・ホテル
旅行会社やホテルの営業もよく職場に来ます。
こちらは個人ではなく部署全体をターゲットとしています。
というのも、どの部署でも職場旅行や忘年会・歓送迎会などを行うことが多いからです(少なくともコロナ前まではそうでした)。
要は、旅行や飲み会の際に自社を選んでもらえるよう営業に来るわけです。
旅行会社やホテルの場合、名刺やチラシを置きに来るくらいなのでそこまで実害はありません。
ただし、「営業に行けば選ばれる可能性が高まる」というわけでもありません。
毎年利用しているお得意先がある場合が多いからです。
公務員に営業マンが近づいてくる理由
では、なぜこれほど公務員をターゲットにした営業が多いのでしょうか?
理由は大きく2つあります。
①安定しているから
1つ目の理由は、(言わずもがなですが)公務員は収入も身分も非常に安定しているからです。
不動産など高額な商品でも、わりと簡単にローンを組んで購入できます。
余程のことがないかぎり、減給やクビになることもないので、一度契約を結べば将来にわたってきちんと支払ってくれるはずです。
ちなみにネット上では「公務員は不動産投資でカモにされやすい」とささやかれています(笑)
試しにGoogleで「公務員 不動産投資 カモ」と検索してみると、「公務員が不動産投資でカモられる理由」みたいな記事がたくさん出てきます。
(たとえば
・公務員が不動産投資で90%カモられる理由! (miguracchi.com)、
・公務員は不動産投資でカモにされやすい。カモられないためには? | 公務員カワサキの不動産投資・賃貸経営 (chintai-kawasaki.com)など)
現役公務員の方はくれぐれも注意しましょう。
②堅実な人が多いから
2つ目の理由は、公務員には堅実な人が多いからです。
でも、堅実なら不動産や保険を簡単に契約はしないんじゃない?
こう思う方も多いかもしれませんが、実は堅実だからこそ老後などの経済状況を心配して、不動産や保険などに興味が湧きやすいのです。
そこに不動産屋や保険屋が、「将来のために今から投資や運用を」という謳い文句を武器に近づいてきます。
「宵越しの銭は持たない」江戸時代の町人のような人なら、そもそも長期的な投資に興味は持ちません。
将来のことを考えているからこそ、少しでもお金を増やしておこうと(人によっては)皮算用を始めてしまうのです。
こうした気質の面でも、公務員は投資話のカモにされやすいのかもしれません。
不要な営業への対処法
不動産投資をはじめ、不要(かつ悪質)な営業を断るためにはどうすればいいのでしょうか?
僕の実体験をもとに、いくつか対処法を書いてみます。
①はっきりと断る
一番大事なのは、とにかくはっきりと断ることです。
曖昧な態度をとっていると、どんどん向こうのペースに引き込まれてしまいます。
また、断るときは「今忙しいので…」と言ってはいけません。
そう答えると「じゃあ忙しくないときはいつですか?忙しくなければお話聞いてくれますよね?」と切り返されてしまい、断りづらくなってしまいます。
最初から「興味がないので要りません」とはっきり言って、すぐに電話を切るようにしましょう。
②全く興味ないオーラを出す
そうは言っても、電話に出るや否やマシンガントークを繰り広げてきて、断りを入れるタイミングを計りかねるケースもあります。
そういうときは、ひたすら興味のないオーラ全開の相槌を打ってやり過ごしましょう。
受話器に耳を当てながら他の作業をしつつ、適当に「はい、はい」と言い続けるのもOKです(僕はそんな器用なことはできませんでしたが、そうしている同僚もいました)。
会話のキャッチボールを成立させる必要はありません。
営業トークに限りませんが、話題に興味を持ってくれない人や、会話のキャッチボールが成り立たない人に話し続けるのは非常に苦痛です。
適当に相槌を打っていると、「話聞いていないだろ」と向こうも気づき始め、だんだんイライラしてきます。
そして相手が一息ついた瞬間に、「すいません、興味ありません」といかにもやる気のなさそうな声で言うのがおすすめです。
こいつアホの子なんかな?何言っても無駄じゃね?
こう思わせることができればこっちのものです。
最後に「はあ、すんません、じゃあ電話切りますね」と言い放ち、そっと受話器を置きましょう。
僕は一度、この作戦をガチで実行したことがありました。
すると「はあ?マジでしょーもねえな、お前バカじゃねーの⁉」という捨て台詞を吐かれ、向こうから電話を切ってくれました(笑)
③番外編:上司宛てに営業電話が来た場合
自分ではなく、上司などに営業電話がかかってくることもあります。
営業電話だと気づいた場合、そのまま取り次ぐのはよくないので何とかブロックしましょう。
上司に営業電話の可能性が高いことを伝えると、たいてい「今外出中って言っておいて」と言われます。
それを向こうも予期してか、単に「○○(名字)ですが、△△課長はいますか?」と名字だけを名乗るパターンもよくあります。
役所への電話(特に内線の番号)で名字だけを名乗る人はほとんどいないので、たいていは営業だと気づくのですが、念のため要件を聞いておきましょう。
当たり前ですが、「営業です」と答えることは絶対ありません。
「課長にお聞きしたいことが…」とか、ひどい場合には「昔からの知り合いでして」といったウソを言ってくることもあります。
「○○の施策について」や「〇月〇日の会議について」などの具体的な話題には触れず、曖昧な言い方をする場合はほぼ「クロ」です。
また、知り合いを装う場合は、たいてい「佐藤」や「鈴木」など、よくある名字を名乗ってきます。
その名前の知り合いが本当にいる可能性が高いからです。
ただし、たまに議員が名字だけ名乗って電話してくることがあるので、その点には注意が必要です。
議員に向かって「営業の電話ですよね。迷惑なんですけど」などと言ってしまうと、冗談抜きに大変なことになります(笑)
役所の世界では、議員は誰よりも偉い存在ですからね。
とはいえ、部署ごとによく電話してくる議員はある程度決まっているので、あらかじめ頻繁にやり取りする議員の名前(名字)はもちろん、できれば性別や年齢も把握しておきましょう(声で判断するため)。
おわりに
今回は、公務員にとっての大敵(?)である営業の勧誘について解説しました。
現役公務員の方にとっては「あるある」の内容だったのではないでしょうか?
また、これから公務員になる方の参考になれば幸いです。
最後に余談ですが、僕は公務員からフリーランスになったおかげで、営業電話がほとんど来なくなりました。
不安定な立場なので、相手にされなくなったということでしょう(笑)
それはともかく、最後まで読んでいただきありがとうございました。