公務員の年収・給料

地方に行くほど公務員は勝ち組?月給ベースで全都道府県調べてみた。

前回の記事では、地方部にいくほど、民間に比べ公務員(都道府県職員)の給与が相対的に高いことが分かりました。

公務員はモテるのか?Part.2 都市部ではそこまでモテない? 前回の記事では、公務員はズバリ、モテると書きました。 https://rourou-blog.com/2021/03/3...

ただし前回は、平均賃金額のトップ5とワースト5の計10都府県しか調べなかったので、今回は全都道府県について調べ、地方部と都市部の違いを見ていきたいと思います。

なお、前回と同様に、民間の平均賃金は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」、都道府県職員の月給は各都道府県が公表している「職員の給与等に関する報告」に基づいています。

地方部ほど公務員が優勢

調べてみたところ、やはり地方部ほど、民間に比べ公務員の給与が高い傾向がはっきりと見てとれました。

よって、確かに地方部では、公務員は「勝ち組」と言ってよいのかもしれません。

ローニン
ローニン
正直、「勝ち組」って言い方はあまり好きではないんですけどね(とか言いながらこんな記事書いてるんだけど)。

以下に一覧表とグラフを載せます。
※差額が10万円以上の都道府県は太字で表示

都道府県(A)平均賃金(円)(B)都道府県職員の月給(円)差額(B-A)(円)
北海道272,800373,042100,242
青森県240,500348,465107,965
岩手県245,900351,136105,236
宮城県281,900364,67382,773
秋田県246,700368,967122,267
山形県251,900370,004118,104
福島県267,300368,156100,856
茨城県301,000382,08981,089
栃木県291,500369,45477,954
群馬県286,200374,43988,239
埼玉県301,500384,80583,305
千葉県302,100366,40164,301
東京都373,600402,03828,438
神奈川県335,200394,90759,707
新潟県259,400374,229114,829
富山県287,900365,77777,877
石川県285,200362,28577,085
福井県274,200359,34085,140
山梨県287,400377,76890,368
長野県283,500378,56195,061
岐阜県289,100368,63679,536
静岡県290,400380,78390,383
愛知県314,100383,46869,368
三重県294,400389,33894,938
滋賀県301,500354,96953,469
京都府310,800377,36166,561
大阪府320,500379,24058,740
兵庫県301,500394,26292,762
奈良県296,000370,75874,758
和歌山県277,600372,96895,368
鳥取県257,900347,68589,785
島根県257,300357,983100,683
岡山県277,400374,18996,789
広島県294,500385,58791,087
山口県279,700364,16984,469
徳島県270,300368,01797,717
香川県281,500362,87181,371
愛媛県260,500359,74499,244
高知県254,500339,19684,696
福岡県282,900369,09586,195
佐賀県255,000353,49098,490
長崎県255,200364,473109,273
熊本県262,400360,85698,456
大分県262,100357,59795,497
宮崎県248,500352,469103,969
鹿児島県256,300360,496104,196
沖縄県252,500346,88294,382
※都道府県職員の月給(B)は、富山県のみ平成31年(2019年)、それ以外は令和2年(2020年)の数値。
ローニン
ローニン
東北や九州などでは、10万円以上も差が開いている県もありますね。

そもそも、公務員の給与ってどうやって決まるの?

あれ、公務員の給与って民間に合わせて決められてるんじゃなかったっけ?

ここまで読んで、こんな疑問を持った方もいるかもしれません。

確かに、公務員の給与は民間企業の平均に一致するように決められています。
地方自治体なら、その自治体にある企業が比較対象です。

しかし、比較対象の企業は従業員数が50人以上のものに限られています
規模の大きい企業ほど給与も高い傾向があるので、50人未満の企業も含めた民間全体の平均(つまり、より実態に即した額)よりも、公務員の給与は高くなるのが普通です。

さらに、今回公務員の給与の比較対象にした平均賃金(A)には、正社員以外の従業員の賃金も含まれています
そのこともあって、これほど差が大きいのだと考えられます。

大企業が少ない自治体ほど、公務員の給与は相対的に高くなる?

規模の小さい企業は、公務員の給与の比較対象から外されることを踏まえると、大企業が少ない自治体ほど、公務員の給与は相対的に高くなる、と言えそうです。

どうしてでしょうか?
単純化した例で考えてみます。

A県には従業員50人以上の企業が8社、50人未満の企業が2社あり、
B県には従業員50人以上の企業が2社、50人未満の企業が8社あるとします。

ローニン
ローニン
大企業が多いA県は都市部、大企業が少ないB県は地方っぽいですね。

どちらの県でも、50人以上の企業の平均月給が40万円、1社あたりの従業員数が100人、50人未満の企業の平均月給が30万、1社あたりの従業員数が10人だとすると、公務員の月給はA,Bともに40万円になります。

しかし、50人未満の企業も含めた民間の一人当たりの月給は、A,Bで異なります。

計算すると、
A県は、40万×8社×100人+30万×2社×10人÷820人(すべての企業の従業員数)=約39.7万円
B県は、40万×2社×100人+30万×8社×10人÷280人(すべての企業の従業員数)=約37.1万円 となります。

そのため、A県では、民間全体と公務員の給与の差は3,000円であるのに対し、B県では29,000円も差が開いてしまいます。

以上の例から、大企業(の企業全体に占める割合)が少ない自治体ほど、公務員の給与は相対的に高くなることが分かります。

そう考えると、東北など民間と公務員の給与差が大きい地域は、大企業が少なく、50人未満の小規模な企業が多いのかもしれません。

実際には「ラスパイレス方式」という複雑な方法で比較しているため、これほど単純ではありません。

まとめ

今回は、民間と公務員(都道府県職員)の月給の違いについて、都市部と地方部の差を意識しつつ調べてみました。

まとめると以下のようになります。

  • 公務員の給与は従業員数が50人以上の民間企業の給与との比較で決められる。
  • 大企業の少ない自治体(地方部)ほど、民間全体の平均に比べ、公務員の給与は相対的に高くなる。
  • 実際に全都道府県調べた結果からも、どうやらそう言える。
  • よって、やはり地方では公務員は恵まれている(収入だけを見れば)

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。