公務員の仕事

「コミュ力低いから公務員になろうかな」←この考えは危険です!【地方公務員】

人と話すの苦手だから、営業とか絶対無理。
公務員ならコミュ力低くてもなんとかなるかな?

公務員って定型的な事務仕事が多そうだし、コミュニケーション能力はそんなに必要ないかな?

こんな考えを持っている公務員志望の方、結構いるのではないでしょうか。
僕もどちらかと言えば、こういうタイプでした。

しかし、この考えはかなり危険です。
というのも、公務員の仕事は、コミュニケーション能力が求められるものが非常に多いからです。

他者とコミュニケーションを取るのが苦手な人は、公務員になってからかなり苦労すると思います。

では、なぜ公務員の仕事は、コミュニケーション能力が必要なのでしょうか。

某県庁で働いた経験をもとに、以下で解説したいと思います。

理由① 多種多様な業種・タイプの人とかかわるから

公務員は非常に多くの人と仕事でかかわります。

部署内の上司や同僚、部下などはもちろん、他の課や部署などとやり取りすることも珍しくありません。
当然、一般の市民・県民の方と関わる場面もたくさんあります(出先機関だと特に)。

それだけでなく、他の都道府県や市町村、中央省庁といった役所全般、民間企業、そして議員とも頻繁にやり取りをします。

ローニン
ローニン
県庁なら県議会議員、市役所なら市議会議員とかかわることが多いですが、ときには国会議員がらみの仕事もあります(都道府県の場合は特に)。

参考までに、僕が5年間の県庁生活(本庁・出先含む)の中で関わった主な業種・業界を、以下に書いていきます(県庁内部は除く)。

役所・議員

  • 県議会議員
  • 県内の市町村役場(首長含む)
  • 他の都道府県庁
  • 中央省庁(特に国交省)
  • 県警(刑事含む)
  • 税務署
  • 小学校の教員

民間企業

  • 大手インフラ系会社(役員含む)
  • 大手運輸会社
  • 地元の土木・建設会社
  • 広告代理店
  • マスコミ関係(地元の新聞社・大手新聞社・通信社など)
  • その他企業の経理担当

その他

  • 大学教授
  • 地元の市民団体の幹部(いわゆる「地元の名士」など)
  • 農家
  • 漁協
  • 税理士・公認会計士

ざっと思いつくものを挙げただけでも、これだけあります。

昼間の仕事だけでなく、お酒の席を共にすることも(本庁時代は特に)よくありました。

僕はたまたまインフラ関係や税務関係の部署にいたので、その方面の会社や役所の人と関わることが多かったですが、当然、部署によって関わる業種・業界は大きく異なります

業種・業界などによって、そこに勤める人のタイプも様々ですので、本当に多種多様な人とコミュニケーションを取ることになります。
仮に「うわ、この人苦手だな」と思ったとしても、仕事を進めるために、交渉や議論をしないわけにはいきません。

そのため、どんなタイプの人とも、それなりにコミュニケーションが取れる能力は必須だといえます。

理由② 異動が多く、そのたびに仕事を覚えないといけないから

公務員は異動が頻繁にあります。
若手の頃は3~4年程度、管理職になると1,2年で異動ということも珍しくありません。

行政職の公務員は特に、異動するたびに新たな分野の業務を担当することになります。

イチから仕事を覚えなくてはならないので、同僚や上司と密にコミュニケーションを取りながら、円滑に仕事を進められるようにならなければなりません。

コミュニケーションを取るのが苦手だと、周りになかなか仕事のことを聞けず、ミスしてしまう可能性が高くなります(出先機関に異動して1年目の僕がまさにそうでした…)。

異動するたびにそんなことを繰り返してしまっては、自分にとっても苦痛ですし、周りにも迷惑をかけることになります。

また、自分が教える側になったときには、丁寧に教える必要があります(異動が多いということは、仕事を教える機会も多いということです)。

つまり、「教わる・教える」という意味でのコミュニケーション能力も重要だということです。

理由③ 調整力・交渉力・説明能力が必要な業務が多いから

公務員は、利害調整や交渉、説明を行う能力が求められます。

例えば、いくつかの団体の間で確認書や協定書を結ぶ際、異なる意見を持つ他の団体と交渉し、こちら側の意見を反映させなくてはならない、といった場面がよくあります。

また、何らかの事業をめぐり住民説明会を行うことになれば、その事業がなぜ必要なのか、住民に不利益を与えないようどんな方策を採るのか、といったことを住民に納得してもらえる形で説明しなければなりません。

外部とのやりとりだけでなく、組織内での交渉や説明能力も非常に大事です。

例えば予算要求の際、なぜこれだけの額が必要なのか財政課に説明しますし、幹部へのレクの際にも、納得してもらえるように説明しなければなりません。
他の部署と利害が対立すれば、粘り強く交渉して妥協点を探す必要もあります。

相手が組織外の人でも内部の人でも、論理的な説明能力はもちろん、ときには感情に訴えかけられる能力も必要かもしれません

一方的にこちらの意見を言うだけでなく、相手方の意見にも耳を傾け、双方が納得する形で話し合いを進める力も大事です。


いずれにしても、かなり高度なコミュニケーション能力だと言えるでしょう。

まとめ

公務員の場合、営業成績のように数字で測れる評価軸が基本的にはないため、上に挙げたような調整能力や交渉力、説明能力の高い人が評価される傾向があります。

また、上の立場になればなるほど、こうした能力が求められます。

そのため、コミュニケーション能力が低いと、出世は難しいかもしれません。

今回の内容をまとめると以下のようになります。

  • 公務員は担当する仕事が幅広く、組織の内外を問わず、多種多様な人とかかわる。
  • 異動も頻繁なため、新たな仕事を早く覚えるには、同僚や上司とのコミュニケーションが不可欠
  • 利害調整や交渉、説明などを行う場面も非常に多い。
  • したがって、コミュ力が低いと、公務員の仕事はかなりキツイし、出世も難しい。

民間の営業職などを避けて公務員になる人の中には、コミュニケーション能力に自信のない人もいるかと思います。

しかし、公務員の仕事は、営業とはまた違った意味でのコミュ力が求められるということは、頭に入れておいた方が良いでしょう

ローニン
ローニン
ただし、コミュ力が低い人は公務員は絶対に無理、というわけではありません。僕ももともとコミュ障でしたが、公務員として働くうちに、少しはコミュ力が上がったような気がします。やはり慣れは大事です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。