公務員の仕事

【地方公務員】出世コースの部署6選+α【元県庁職員が解説します】

地方公務員の出世コースはどこだろう?

地方公務員として働くうえで、出世できるかどうか気になる人も多いかと思います。

今回は、県庁や市役所などで「出世コース」と呼ばれる課はどこなのか、某県庁職員として5年間働いていた経験をもとに、解説したいと思います。

出世しやすい部署・課の特徴3つ

まず、出世しやすいとされる部署や課にはどんな特徴があるのかについて見ていきます。

具体的な特徴は以下の3点です。

  1. 予算や人事の権限を握っている
  2. 役所・部局全体の施策を把握できる
  3. 自治体の目玉事業を担っている

それぞれについて解説していきます。

① 予算や人事の権限を握っている

出世コースと呼ばれる部署の第一の特徴は、予算や人事の権限を握っている点です。

言い換えれば、他の部局の職員を動かしたり、施策を左右する力を持っているということです。

権限を持っているということは、必然的に人の上に立つ立場になります。
上の人間が無能だと、組織は立ち行きません。

そのため、こういった部署には優秀な人材が集まり、将来的に幹部のポジションに昇り詰める人も多くなります。

ローニン
ローニン
もちろん、若手の職員は大きな権限は持てませんが、こうした部署がどのような仕事をしているのを学ばせる意味で、優秀な人は若いころから配属されます。

② 役所・部局全体の施策を把握できる

二つ目の特徴は、役所や部局全体の施策を把握できる点です。

出世して上の立場になるほど、色々な施策や事業を幅広く把握しなければなりません

事業を取りまとめたり、部署間の調整をする立場の部署で働くことで、自治体の施策を大局的に見る目を養うことができます。

そのため、こうした部署は出世コースになりやすいと言えるでしょう。

③ 自治体の目玉事業を担っている

予算や事業などを取りまとめる部署でなくても、自治体にとって重要な事業を担当している部署も出世コースになりやすいです。

目玉事業を成功させるために、優秀な人材を配置することが多いからです。
行政の一番の花形と言えるかもしれません。

具体的な出世コースの課6選

出世コースとされる主な課は、次の6つです。

  1. 財政課
  2. 総務課・人事課
  3. 市町村課・地方課※都道府県の場合
  4. 秘書課
  5. 各部局の総務課(〇〇政策課など)
  6. 自治体の重要施策の担当課

それぞれについて見ていきましょう。

① 財政課

間違いなく、一番の出世コースです。

自治体全体の予算を握っているため、非常に大きな力を持っています。

各課の予算担当者は、予算要求の時期になると、予算の根拠となる資料をまとめ、財政課に説明します。

その際、財政課の担当者は、予算が適正かどうかを査定するため、事業の細かい点までヒアリングし、正確に内容を理解しなければなりません。

そのため、財政課で仕事をしていると、自然と担当の部局の施策・事業に詳しくなります。

つまり、財政課は、予算の権限も握りつつ、自治体の施策・事業も把握できる立場だということです。
出世コースになるのも当然と言えます。

ただし、財政課は激務とも言われています。

ローニン
ローニン
特に予算要求の時期は、職場に泊まり込むこともあるとか…

② 総務課・人事課

人事に関する権限を握っている総務課や人事課なども、出世コースの一つです。

人事異動は、皆が気にします。
3月の人事異動の時期になると、誰がどこに異動したかという話題で盛り上がります。

公務員の場合、部署によって仕事の内容も忙しさも出世の見込みも大きく変わるので、一大イベントというわけです(一部では「異動ガチャ」と言われているそうです)。

そうした人事を決める立場にいるということは、大きな力を持っていることを意味します。

総務課は人事以外にも、職員の給与や研修など、役所内部の庶務を取りまとめています。
内部的な施策に広く関わる立場だと言えます。

③ 市町村課・地方課※都道府県の場合

自治体によって呼称は違いますが、市町村課や地方課と呼ばれる課も出世コースでしょう。

県内の市町村に交付する地方交付税を取りまとめたり、市町村の自治・振興や財政などに関わる業務を担うので、市町村に対して(少なくとも形式上は)権限を持っています

市町村と深く関わるため、都道府県内の地域事情にも詳しくなります。
そのため、上の立場になる上で重要な経験を積めると言えます。

僕の勤めていた県庁では、上記の財政課・総務課・市町村課が出世コースの「御三家」と呼ばれていました。

④ 秘書課

知事・副知事(もしくは市町村長・副長)と最も距離の近い秘書課も、出世コースの一つです。

知事・副知事の秘書業務全般を担うため、組織内のあらゆる施策を把握する立場でもあります。
レクをする際は必ず秘書課を通すので、自然と組織全体の施策を知るようになります。

ローニン
ローニン
僕のいた県では、特に秘書課長は出世コースと言われていました。

⑤ 各部局の総務課(〇〇政策課など)

各部局内の総務・人事・秘書課的な課を指します。

部局内の予算や人事を取りまとめるほか、部局長の秘書的業務もあるので、部局内の中心的な課です。

総合計画など、自治体の柱となる政策の企画・立案に関わる課(「〇〇政策課」や「〇〇企画課」といった名称で、総務や企画系の部局にあることが多い)は、特に出世コースだと言えます。

⑥ 自治体の重要施策の担当課

その自治体にとって重要な事業を担当する課も、出世コースです。

特に、首長肝いりの施策・事業を担っている課は、優秀な職員が多く、出世の見込みも高まります。

ローニン
ローニン
首長が力を入れている事業を失敗させるわけにはいかないので、優秀な人を配置するのは当然といえます。

近年でいえば、オリンピックに関する事業(聖火ランナー関係など)は、どの自治体にとっても重要だったでしょう。
観光に力を入れている自治体なら、観光関係の課も大事です。

また、(否決はされましたが)大阪都構想のような、ゼロから始めなくてはならない事業も、自治体にとって非常に重要なものとなります。

そのため、そうした施策・事業を担う部署には優秀な職員が集まります。
花形かつ出世コースと言えるでしょう。

国や民間企業への出向も出世コース

国(中央省庁)や民間企業への出向も、出世コースされています。

外部で働く職員は、自治体の職員全体を代表しています。
仕事のできない人を送り込んでしまうと自治体のメンツが立たないので、出向するのはたいてい優秀な職員です。

出向は本人が希望しても通らないこともあり、それなりに審査は厳しいといえます。

他の組織での仕事を経験させることで、幅広い視野を持たせるねらいもあります
中央省庁への出向の場合は特に、国と地方の考え方の違いを知る意味でも重要でしょう。

そのため、出向の経験は、幹部になったときに無駄にはならないはずです。

自治体に戻ってくると、上記のような出世コースの課に異動する人も多くいます。

おわりに―出世コースから外れても問題なし?―

今回は、地方公務員の出世コースについて解説しました。

出世コースの課は自治体の中枢ですが、たいていの場合激務です。
頭脳も体力も精神力も兼ね備えている人でないと、出世コースに乗るのはなかなか厳しいかもしれません。

では、出世コースに乗れない人はどうなってしまうのでしょうか?

実は、全然余裕です(笑)

なぜなら、公務員の場合、利益を出さなければならないといったプレッシャーはないので、出世コースから外れても肩身の狭い思いをすることはほぼないからです(本人がそれでもいいと思っているのなら)。

よほどのことがない限り、降格したり給料が下がったりすることもないので、出世競争からあえてドロップアウトするのも一つの手です。

ただし、出世コース以外の部署でも激務のところはあるので、出世をあきらめたら必ずのんびりできるというわけでもありません。

このあたりは運次第だと思います。

なお、上級職で入れば、出世コースに乗らなくても課長級までたどり着ける人は結構います。
ただ、部長にまで昇り詰めたいのであれば、出世コースに乗らないとかなり厳しいでしょう。

というのも、1つの部に課が10ある場合、部長の椅子は課長職の10分の1しかないからです。

しかも、国から出向してくるキャリア官僚のために用意されている部長のポストもあるため、生え抜き職員で部長になれるのは、同期の中でほんの数人です。

地方公務員の世界でも、ガチで出世を目指すのであれば、非常に厳しい競争を勝ち抜かなければならないということです。

なお、以上はあくまでも僕の勤めていた県庁での経験をもとにしています。
自治体によっては微妙に異なるかもしれないので、参考程度に読んでいただければ幸いです。

ただ、県職員時代に他の自治体の人から話を聞いた限りでは、自治体によってそれほど出世コースに違いはない印象でした

ローニン
ローニン
どの自治体でも、基本的な組織の枠組みは変わらないですからね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。