自己啓発等休業を利用したいけど、休業中にどのくらいお金がかかるんだろう?
公務員には、仕事を休業して大学院や海外ボランティアなどに行ける「自己啓発等休業」という制度があります。
しかし、休業中は給料が一切出ないため、お金の面が心配な方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、自己啓発等休業中の「お金事情」について書いていきます。
具体的には、学費・税金・社会保険料や、アルバイトなどについてです。
実際に僕が自己啓発等休業を取得して大学院に通った際の経験にもとづいていますので、休業を取得しようか考えている方は、参考にしてみてください。
なお、自己啓発等休業の概要については以下の記事で解説していますので、どのような制度なのか知りたい方はこちらもご覧ください。

自己啓発等休業中のお金事情(出費について)
まずは出費についてです。
ここでは特に、自己啓発等休業ならではの要素である学費と、今までは給料から天引きされていた税金(住民税)・社会保険料の負担を中心に解説していきます。
僕の場合、これらの総額で250万円近くも(!)払うことになりました。
その内訳を以下で書いていきます。
学費(入学金・授業料)
大学院に進学するなら、当然学費がかかります。
僕は国公立の大学院に進学したので、入学金が約28万円、授業料が年額53万5千円ほどでした。
修士課程で2年在籍していたため、総額は28万+53.5万×2=約135万円です。
私立大学の場合、これよりも学費は高くなります。
税金(住民税)
休業中は無給ですが、住民税を納めなければいけません。
というのも、住民税は前年の所得に応じて課されるからです。
僕の場合、住民税額は20数万円でした。
市役所から納税通知書が送られてくるので、それを使って支払います。
ちなみに、税額の算定元となる前年(休業する直前の年)の年収は、約450万円でした。
前年の年収がこれより高ければ、当然税額も上がります。
社会保険料
上記2つの出費は、当初から覚悟していました。
しかし、想定していなかった恐ろしい出費が待ち受けていました。
社会保険料です。
大学院に進学して数週間たったころ、職場の給与関係の部署(総務課)から封筒が送られてきました。
中を開けてみて驚愕します。
なんと、「社会保険料を毎月約5万円近く支払ってください」という通知と納付書だったのです。
年額に換算すると約55万円。これは非常に痛い出費でした。
社会保険料の場合、原則として4,5,6月の給与をもとに算出し、9月に額が改訂されます。
そのことは知っていたので、正確に言えば、休業1年目の8月分まで払うのは想定していました。
しかし、実際にはまるまる1年分払わなければいけなかったのです。
あまりに驚愕したので総務課に問い合わせたところ、4~6月が完全に休業の状態だと、9月以降も前年と同額を支払わなければならないとのこと。
しかも2年目も同額を支払う必要があると言われてしまいました。
それを聞き、がっくりと膝から崩れ落ちました(笑)
おかげでかなりカツカツの学生生活を送る羽目になります。
結局2年目の途中で退職したのですが、総額で90万円くらい払ったのではないでしょうか(あまり思い出したくありません)。
なお、社会保険料も所得が上がるほど額が増えていきます。
アルバイトについて―僕がやっていたもの―

予想外の出費が生まれてしまったため、何かしらアルバイトをして生活費の足しにしなければなりませんでした。
とはいえ、せっかく大学院に進学したので、アルバイトに時間を取られたくはありません。
そこで、以下に紹介するように、比較的勉強・研究の支障にならないバイトをすることにしました。
自己啓発等休業中は、所属長の許可をもらえばアルバイトは可能です。
ただし、
・修学など本来の活動に支障をきたす
・アルバイト代が、生活費や学費のため必要と考えられる範囲を超える
といった場合は認められません(参照:人事院HP title (jinji.go.jp))。
どのくらいの時間や報酬額なら認められるのかについては、所属長や人事などのさじ加減で決まるのが正直なところです。
僕の場合、(退職した今だから言いますが)面倒だったので許可をもらわず勝手にやってました(汗)
仮にバレていたら、何らかの処分を受けていたかもしれません…。
こんなリスクを背負わないよう、必ず事前に申請して許可をもらった方がいいでしょう(僕が言っても説得力はないですが)。
大学のTA(ティーチング・アシスタント)
一つ目は大学のTA(ティーチング・アシスタント)です。
主な業務は、指導教官の先生が学部生向けに行う授業の補助です。
具体的には、出席を取ったりテストの集計をしたりするほか、授業(ゼミなど)に参加して学部生の指導などもします。
TAの業務は、指導教官によってはブラック化する可能性もなきにしもあらずですが、僕の場合はありがたいことに非常にホワイトでした。
時給換算すると1,000円以上はもらえたと思います。
ただ、実働時間はあまり長くないので、月給としてはせいぜい1~2万円(多い月で3万円)といったところでした。
治験
夏休みなどの長期休暇中には、治験に参加しました(厳密に言えば、治験はバイトではなく「ボランティア」という名目ですが)。
治験とは、 開発中の薬などを健康な人や患者に投与し、安全性を確かめる試験のことです。
何泊も入院する案件なら、報酬(「負担軽減費」)として10万円以上もらえるものもあります。
僕が参加したもので一番高額だったのは、5泊6日の入院を2回+事後観察として通院を4回ほど行うというもので、報酬は20万円以上でした。
そのほかにも何度か治験に参加し、合計で40万円くらい稼げました。
ちなみに、入院中は結構自由時間があるので、文献やパソコンなどを持ち込めば普通に勉強や研究ができます。
治験については、以下の記事で詳しく紹介しているので、ご関心があればあわせてご覧ください。

ウーバーイーツ
運動不足の解消も兼ねて、ウーバーイーツの配達もしていました。
もちろん、勉強や研究に支障の出ないよう、あまりたくさん稼働はしませんでしたが。
主に(配達需要の多い)週末の夜に稼働することが多かったです。
当時はまだ報酬が引き下げられる前だったこともあり、時給換算で少なくとも1,000円以上は稼げました。
調子が良ければ1,500円~2,000円くらい稼げるときもあり、かなり割はよかったと思います。
ただ、週末に数時間稼働するだけだったので、月の稼ぎは数万円程度でした。
原稿料
現在は主に執筆の仕事をしていますが、大学院在学中から少しだけ書く仕事をいただいていました。
(実名で執筆していたので)詳細はここでは書けませんが、紙媒体(雑誌)での執筆でした。
ただ、メジャーな雑誌ではないので、原稿料はそれほど高くありません。文字単価で換算すると4~5円ほどです。
ひと月当たりの原稿料は数千円といったところでした。
とはいえ、紙媒体で書かせてもらえるだけ非常にありがたいので、毎回真剣に書いていました。
出費の管理について―固定費の削減など―

以上の収入を合わせても、毎月の平均の稼ぎは大したことありません。
普通に生活していると余裕で赤字の状態です。
そこで、少しでも出費を減らすため、家計簿のアプリを導入し、毎月の収支をきっちり管理していました(今も使っています)。
僕が使っているのはマネーフォワード ME | スマホで簡単 家計簿アプリ (moneyforward.com)です。
また、出費の多くを占める家賃の負担を減らすため、進学と同時に安い(ぼろい)アパートに引っ越しました。
家賃は公務員時代のおよそ6割です。
さらに、スマホも格安スマホに切り替えました。
おかげで、通信費も月3,000~4,000円ほど安くなりました。
加えて、ありがたいことに実家から食料の仕送りをもらっていたので、毎月の食費は5,000円分くらいは浮いていたと思います。
家計簿の導入や固定費・食費の削減に加え、(コロナのせいもあり)飲み会などの交際費も減ったので、公務員時代に比べ、生活費を3割以上は抑制できました。
おまけ―思わぬ臨時収入―
上記の収入に加え、思わぬ臨時収入もありました。
一つは昔仕込んでいた仮想通貨(ビットコイン)が値上がりしたことです。
宝くじを買う感覚で、公務員時代に少しだけ購入していたのですが、昨年(2020年)値上がりしたタイミングで売り払いました。
純利益は10数万円といったところです。
ちなみに、ビットコイン価格は今年(2021年)に入ってからさらに爆上がりしたので、もし現時点まで保有していたら100万円くらいの純利益が出ていたかもしれません。
ただ、仮想通貨はほとんど投機に近いので、今から手を出そうとは思いませんが…。
加えて、特別定額給付金で10万円もらえたのも助かりました。
さらに大変ありがたいことに、大学院に進学する際、祖母が20万円ほど援助してくれました(30近くにもなって恥ずかしいですが…)。
こうした臨時収入のおかげで、多少学費などの出費を補填できました。
おわりに―学費や社会保険料等で200万~300万円の出費は覚悟―

今回は自己啓発等休業に伴う出費や、休業中のアルバイト事情などについて書いてきました。
自己啓発等休業で大学院に進学するのなら、学費で130万円以上、住民税や社会保険料で100数十万円、合計で最低でも200数十万円はかかります。
僕の場合は国公立への進学だったのに加え、比較的若手の時点での休業だったので、学費や社会保険料、税金はこれでも安い方だと思います。
ある程度キャリアを積んでから(=給料が高くなってから)休業すると、その分住民税や社会保険料の額も上がりますし、私立に進学すれば学費も高くなります。
とはいえ、あまりに若手の場合、十分に貯金できないかもしれないので、なかなか悩ましいところです。
いずれにしても、自己啓発等休業で大学院に進学するのであれば、学費や社会保険料等で200万~300万円くらい飛んでいくのは覚悟しなければいけません。
もちろん、これに加えて毎月の生活費もかかります。
僕は休業前に400万円近く貯金していましたが、2年間の大学院生活で9割くらい消えてなくなりました…(退職金はそれなりにもらえたので、今は多少貯金は増えましたが)。
なお、実際にもらった退職金の額は以下の記事で公開しているので、ご関心のある方は読んでみてください。

僕のように社会保険料の存在を忘れて休業することのないよう(笑)、事前にしっかり準備しておきましょう。
