公務員にはいろいろな研修がありますが、その中に「暴力団対策研修」（通称「暴対研修」）というものがあります。
窓口などに「そっちの筋」の人が来たときに、どう対応すればいいか教わる研修です。
この研修、基本的には座学なのですが、一部やばい内容（？）があります。
今回は、僕が暴対研修で経験した恐怖体験についてご紹介します。
暴力団対策研修について
暴力団対策研修は年に1度くらいの頻度で行われます。
だいたい各課・部署から数人、まだ参加したことがない人（つまりは若手）が選ばれ、役所内の大きめの会議室で数十人～百人規模で研修を受けます。
はじめに県の担当者（おそらく総務課の暴対担当）が講師として登壇し、暴力団（っぽい人）が役所に来たときの応対について解説したり、ビデオを観たりして学ぶ…といった内容です。
「マル暴」の刑事（デカ）が怖すぎる
ここまでは普通の研修と変わらないのですが、その後県警の担当者が登壇すると張り詰めた雰囲気になります。
なぜかというと、県警の人の見た目が怖いからです(笑)
はっきり言って、ヤ〇ザと変わりません。
ちなみに県警で暴力団対策を担当する課は、通称「マル暴」と呼ばれます。
マル暴所属の刑事（デカ）は暴力団側になめられないよう、いかつい見た目にならなければならないそうです。
というか、暴力団と日々接しているうちに、だんだん雰囲気がそっちの方に染まっていくのかもしれません。
僕が参加した研修で講演した刑事は、髪をオールバックに決めた40歳くらいのコワモテのお兄さんでした。
そのオールバックの刑事が、県内の暴力団事情について淡々と解説していきます。
どんな組織（「〇〇会」系）の構成員が何人くらいいて、このあたりの地域が拠点で…といった内容ですが、刑事が怖くて内容があまり頭に入ってきません(笑)
「この人こそ実は『〇〇会』系の鉄砲玉か何かじゃないのか？（見た目的に）」なんて妄想が膨らみます。
そんなこんなで、ついに暴対研修のメインイベントを迎えることになります。
それが、ロールプレイングです。
ヤ〇ザみたいな刑事相手に応対のロールプレイング
研修の最後に、数十人の研修参加者の中から無作為に2,3人を選び、実際に応対のロールプレイングをするのが暴対研修のお約束です。
参加者はたくさんいるので選ばれる確率は低いのですが、なんと僕が選ばれてしまいました。
暴対研修に限らず、子供のころからこういう場面でなぜか僕はよく選ばれます（このときも悪い予感がしました）。
悪い意味でくじ運が強いのでしょう。
部屋前方に机といすがセッティングされ、おそるおそるそこに座ります。
いざロールプレイング開始！
ヤ〇ザ役のマル暴の刑事が部屋に入ってきました。それも3人も…。
迫力を増そうとしたのか、サングラスもかけています。完全に「やから」です。
細かいセリフややり取りは忘れてしまいましたが、とにかく迫力が凄まじかったのは覚えています。
そのドスの効いた太い声に完全に圧倒されました。
声だけでなく、崩しながらも隙を見せない座り方など、振る舞いも完全にヤ〇ザそのもの。
そのまま『アウトレイジ』に出演しても全く違和感はありません。
ロールプレイングとはいえ完全にテンパってしまい、教わった応対もほとんどできないまま進行していきます。
そうこうしているうちにイラついたヤ〇ザ（役の刑事）が懐に手を入れました。
「まさかチャカでも出すのか！？」と思ったら、案の定ナイフ（のおもちゃ）をチラつかせてきました。
ビビッてそのまま座っていると急に態度が変わり、「いや、凶器を出してきたら急いで逃げて」と突っ込まれてしまいました（笑）
そんなこんなでロールプレイングは終了。
最後はヤクザ役の刑事と他の参加者が拍手してくれましたが、完全にただの見世物でした(笑)
おわりに
今回は公務員が受ける暴対研修の裏側（？）について、実体験を交えて書いてみました。
「公務員が暴力団関係の人と関わることなんてあるの？」と思われる方もいるかもしれませんが、部署や担当する仕事によってはあります。
たとえば産業廃棄物の不法投棄の指導などで、そっち系の人と相対する可能性がないわけではありません。暴力団ではないとしても、ガラの悪い方々と交渉する場面などもあります。
暴対研修がどこまで役に立つのかは分かりませんが、公務員の方は暴力団がらみのトラブルに巻き込まれてうっかり（？）殉職してしまわないよう気をつけましょう。
