D.A.N.さん、マジパネェっす(←語彙力)。
……気を取り直して、「ジャパニーズ・ミニマル・メロウ」なる唯一無二のスタイルを確立した3人組バンド、D.A.N.のライブツアー“Antiphase Of The Moon”に初参戦してきました。
これが本当にすごかった。
先月(2021年10月)発売した3rdアルバム『NO MOON』が素晴らしかったので、ライブのクオリティーも高いだろうと期待していましたが、その期待をはるかに超える内容でした。
先月のミレニアムパレードのライブに続き、当ブログの方向性からは外れるかもしれないですが、興奮冷めやらぬうちに書いていきます。
会場に到着、ぼっちでも寂しくない雰囲気
今回の会場は大阪BIGCAT。
アメリカ村のBIGSTEP内にある中規模のライブハウスです。
※なお、到着したのが開演ギリギリだったこともあり、会場の写真を撮るのを忘れていました…(サムネはフリー素材です)
コロナ対策で通常よりもキャパを制限していたようですが、それでもフロアの一番後ろまで結構がっつり観客が入っていました。
到着したのが遅かったこともあり、僕は後ろの方にいたのですが、それでも四方50センチくらいには人がいるぐらいの密度でした(前方はもっと密になっていた感じです)。
まあ、すでに感染もだいぶ収まってきたので、密でも全然かまわないと個人的には思っているのですが。
それはさておき、フロアに入って驚いたことがあります。
(僕も含め)1人で参戦している人がかなり多かった点です。
どう見ても半分以上はソロ参加っぽい感じでした。
D.A.N.のファンはぼっち属性保有者が多いのでしょうか?笑
もっと言ってしまえば友達も恋人もいないとか?(あ、それは僕のことでした泣)
すみません、上記は訂正します。
おそらく友達や恋人がいても、D.A.N.のことを知らない、もしくはあまり好きではないから仕方なく1人で参戦している人が多いのだと思います。
それだけD.A.N.は「知る人ぞ知る」系のバンドなのでしょう(もっとメジャーになってほしいけど、その反面あまり知られたくもない、みたいな)。
ソロ参戦の人が多かったおかげで、僕も1人で全然浮かないどころか、周りのぼっち参加者と無言の連帯感を勝手に感じていました(笑)
これは大げさではなく、D.A.N.とかいう(決して万人受けはしないであろう)得体のしれないバンドが好きという時点で、あの場にいた人たちは同志だと言っていいかもしれません。
前置きが長くなりましたが、ライブ本編に入ります。
「踊れないダンスミュージック」に揺さぶられる
D.A.N.の魅力といえば、「踊れないダンスミュージック」とでもいうような浮遊感と陶酔感のあるサウンドですが、このライブで気づいたのはめちゃくちゃアグレッシブでもあるということ。
いや、最新アルバムの『NO MOON』を聴いたときから感じていましたが、以前に比べて明らかにサウンドに力強さが増してます。
生で聴いてみて、改めてそのことを実感しました。
決してポップではない(むしろ不穏な)雰囲気なのに、なぜかめちゃくちゃ感情も体も揺さぶられてしまいます。
なかでも「NO MOON」と「The Encounters」、そしてトリにもってきた「Anthem」はヤバかった。
この3曲はアルバムではもちろん、MVも何十回も観て予習してきましたが、やはりライブでの迫力は段違いです。
特に「The Encounters」のクライマックス(歌詞でいえば”What are you afraid of 未知との遭遇…”のところ)は、思わずヘドバンしたくなるぐらいの勢いでした(笑)
またサウンドだけでなく、歌詞の強度も明らかに増していることに気づきました。
(櫻木大悟節ともいえる)いろんな解釈の余地がある抽象的な歌詞は健在なのですが、パワフルでメッセージ性の強い歌詞も目立つようになってきた気がします。
たとえば「Anthem」の“雨の中でも起き上がる 負けないFighting Spirit”、“真っ白い悪夢が身体中を駆けめぐる”という歌詞なんかがそうです。
「NO MOON」の“地球はみな貨幣の奴隷”なんて歌詞も相当パンチが効いています。
けだるい雰囲気の中にこういう「強さ」があるからこそ、D.A.N.の沼にハマってしまうんです。
単にオシャレで洗練された音楽をやっているだけのバンドとは、やはり一線を画しています。
各メンバーも生で初めて見ましたが、超絶的にかっこよかったです。
変則的なリズムを淡々と刻む川上輝のドラムはまさに人力マシンドラム。
ロックドラマーみたいに攻撃的なプレイもあり、D.A.N.のアグレッシブな面は彼が担っているのだと実感しました(特に「Floating in Space」の後半部のドラムはヤバい)。
市川仁也のベースも縦横無尽という感じで、体の奥底から揺さぶられる感覚を覚えました。
ぱっと見はその辺にいる大学生みたいな風貌なのに(←失礼)、ベースを持つと人が変わります。
もちろん、櫻木大悟のボーカルも素晴らしかったです。
というか、とても20代には見えない貫禄があります(いい意味で)。
そしてサポートメンバーの小林うてなも忘れてはいけません。
彼女のスティールパンがあることでサウンドの浮遊感がさらに増し、楽曲にエキゾチックな雰囲気が漂います。
「Floating in Space」では完全に主役級の活躍を見せていました。
4人の個性が合わさった唯一無二のサウンドを全身で受け止めたからか、途中でバランスを崩して後ろにコケそうになりました(笑)
(酒を飲んだわけじゃないのに)バランス感覚が狂うくらいの不思議な酔いに襲われた、といった感じです。
おわりに―D.A.N.への親近感と期待―
そんなすごいライブを体験させてくれたD.A.N.ですが、密かに親近感を覚えています。
というのも、D.A.N.のメンバーが影響を受けたアーティストと、僕が好きなアーティストがかなりかぶっているからです。
たとえば市川氏は、音楽に出会ったきっかけの1曲として山下達郎の「アトムの子」を挙げているのですが(下記動画参照)、僕も大好きな曲なのでテンションが上がりました!
しかも父親が山下達郎好きで、家族で出かけたときによくかけていたというのも全く同じ(笑)
僕も小さいときから耳に入っていたので、いつの間にか山下達郎を好きになっていました。
また別の動画のなかで、D.A.Nの音楽に影響を与えたアルバムの中に、ポーティスヘッドの『サード』が入っていたこともうれしかったです。
ポーティスヘッドの名盤といえばファーストアルバムの『Dummy』を挙げたくなるところですが、あえて『サード』を入れるあたりが渋い!
ほかにもキリンジの『3』や山下達郎のベストアルバムを入れていたりと、僕の趣味にかなり近くて親近感を覚えました。
櫻木氏の、「(キリンジの)『エイリアンズ』みたいな曲作れたら(音楽)辞めてもいいかな」という発言には思わず笑ってしまいました(確かにそのぐらい大名曲です)。
まあ、そんな個人的な親近感はさておいて、D.A.N.は本当にすげーバンドです。
ライブに行ってますますファンになりました。
先日ライブを観に行ったミレニアムパレードもそうですが、僕と同じくらいの世代(平成初期生まれ)は音楽の世界ではかなり黄金世代のような気がしています(米津玄師や中村佳穂、折坂悠太とかも同世代ですし)。
これからどんな音楽を作ってくれるのかますます楽しみです。