多くの地方自治体が力を入れているコンテンツがあります。
ご当地マスコットキャラ、いわゆる「ゆるキャラ」です。
地元の駅前やイベントなどで見かけたことがある方も多いと思いますが、あの着ぐるみの中には誰が入っているんでしょうか?
今回は自治体にとって最大のタブー(?)である、ゆるキャラの中の人について書いていきます。
なお、「ゆるキャラに中の人なんていない!」と言い張っている自治体もありますが、それが許されるのは某夢の国にいるネズミさんたちだけでしょう。
ゆるキャラの着ぐるみ、「中の人」は自治体職員が多い
結論を言うと、ゆるキャラの着ぐるみの中にはたいてい自治体の職員が入っています。
たとえば何かのイベントにゆるキャラが登場する場合、そのイベントを担当している課の職員の誰かが入ります。
誰が入るか決まりがあるわけではありませんが、基本は若手で、できれば背は低い方が理想です。
というのも、着ぐるみのサイズが小さいことが多いからです。
体格を考えるなら女性が入る方がいいのですが、後述する理由から男性が入るパターンが(少なくとも僕の知る限りでは)多かったです。
ちなみに、僕も何度か某都道府県のゆるキャラの中に入りました(さすがにどのキャラかは守秘義務の関係で言えません笑)。
以下では実際の経験をもとに、「中の人」の実情について書いていきます。
ゆるキャラの「中の人」は重労働
はっきり言って、ゆるキャラの中の人は重労働です。
なぜかというと、着ぐるみは暑くて重くてクサいからです。
※男性が入ることが多いのはこのため
着ぐるみの中は熱気がこもるため、暑さが尋常ではありません。
屋内ならまだマシですが、夏の屋外は普通に地獄です。
幸い僕は夏に屋外でやったことはなく、屋内の施設がほとんどでしたが、それでも相当な暑さでした。
しかも着ぐるみに汗がつかないよう、長袖長ズボンで頭にはタオルを巻かなくてはいけません。
そのため余計暑さが増します。
また、(これはキャラのフォルムや素材によるかもしれませんが)着ぐるみは意外と重く、動き方に慣れるまで結構大変です。
暑さに重さも加わるのでキツさも増します。
そしてなんといってもクサイ(笑)
丸ごと洗えるタイプの着ぐるみならいいのですが、僕が操縦(?)していた着ぐるみは洗えないタイプだったので、使用後はファブリーズで消臭・除菌して風通しのいい場所に置いていました(やらないよりはマシです)。
いくら長袖・長ズボンでタオルを巻いていても、長年の使用によりどうしても汗臭さが付着していきます。
僕のいた自治体にはゆるキャラの着ぐるみが何体もいたのですが(同時に複数の場所に登場することも多かったため)、年季の入った初号機などが手配されるとテンションが下がりました。
さらに視界も不良
暑さ・重さ・クサさに加え、地味に一番大変だったのは視界の悪さです。
着ぐるみの目や口などの部分に小さいのぞき穴があるだけなので、視界は8割くらい閉ざされます。
正面もまともに見えないので、斜めや下方向の景色から推測して歩くしかありませんでした。
これだけ視界が悪いので、基本的には他の職員がそばについて引率します。
ゆるキャラの着替えは絶対に見られてはいけない
ゆるキャラの鉄則ですが、着替えを絶対に外部の人に見られてはいけません。
理由は言うまでもなく、子供たちの夢を壊してしまうからです(笑)
そのためイベントなどにゆるキャラが登場するときは、どこで着替えて、どんな動線で動くかを綿密に確認します。
また、(ショッピングモールなど)外部の施設を利用する際は、必ずお着換え部屋を用意してもらいます。
お偉いさんが出席する会議で控室を用意してもらうのと同じノリです。
何度か他の自治体のゆるキャラも10体くらい集まるイベントに(中の人として)出たこともありましたが、普通ならどこかの社長や知事クラスの人が使うようなだだっ広い応接室を着換え部屋として使わせていただいたこともありました。
そんな豪華な部屋で、大人数のいい大人がゆるキャラに着替える姿は何ともシュールでした。
ただし、プロの「中の人」がいる場合も
このようにゆるキャラの中の人は職員であることが多いのですが、自治体によっては着ぐるみのプロが入っていることもあります。
特にゆるキャラの知名度が高く、広告塔として重視している自治体にこのパターンが多い気がします。
具体名は出しませんが、九州あたりにいる黒いヤツもおそらくそうでしょう。
ちなみに(元)我が県でも、注目度の高いイベントなどではプロ(「アクターさん」と呼んでいました)にお願いすることもありました。
一度僕がいた課のイベントでもアクターさんにお願いしたことがあったのですが、やはり動きが素人のそれとは全く違いました。
動きが早いのはもちろん、どうやったらかわいく見えるかをよく心得ています。
しかも中の人は重労働なので、普通は1時間も稼働すると限界を感じ休憩を挟む(もしくは他の職員と交代する)のですが、アクターさんは2時間くらい入りっぱなしだったことにも驚愕しました。
やはりどの分野でもプロは違います(いや、自治体職員もプロといえばプロなんですが…)。
おわりに―実は楽しいこともある―
こんな感じでゆるキャラの中の人は結構大変なのですが、実は楽しいこともあります。
小さい子たちが
わー!〇〇(ゆるキャラの名前)だー!!
みたいな感じで近づいてきてくれることです。
ゆるキャラが登場するイベントは家族連れなども多いので、たくさん子供たちが集まってくれます。
着ぐるみ越しですが、人気者になった気がして非常にうれしいです(笑)
ただ、たまにやんちゃな中坊に叩かれたり蹴りを入れられたりもします(泣)
小さい子たちが集まること以上にうれしいのが、若い女性が近づいてくれることです(←)
普段非モテで陰キャのいろいろとこじらせてしまった僕からすると、至近距離に女性が来るなんてめったにない素晴らしいイベントです!
ただ、前述のように視界は最悪なのでほとんど顔は見えません。しかし、顔がよく見えないからこそ想像も膨らむというものです。
女性の皆さん、もうお分かりでしょう。安易にゆるキャラに近づくことのリスクを。
中にどんな奴が入っているか分からないですからねえ(ゲス顔)
……当ブログ史上一番ひどい締め方になってしまいましたが(汗)、最後まで読んでいただきありがとうございました。
不快に思った方(特に女性)がいたら本当に申し訳ございません。