はじめに―なんで公務員を目指したの?―
公務員になる理由って、どういうものが多いの?
公務員を目指している方の中には、こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、某県庁で5年間働いていた僕が、リアルな「公務員になる理由・動機」を6つのパターンに分けて解説します。
どういったタイプの人が役所で働いているのか気になる方は、参考にしてみてください。
公務員になる理由・動機6パターン
公務員になる理由や動機を、(ほぼ主観ですが)よくあるものから順に並べると以下の通りです。
- 安定志向
- 地域(地元)に貢献したい
- 出世したい
- ブラックな民間企業から脱出したい
- 趣味に全力投球したい
- 夢が叶わなかったから
①安定志向
言わずもがなですが、最もよくある動機が「安定志向」です。
公務員になる人は皆、多かれ少なかれ安定志向を持っています。
一度採用されてしまえば、(法に触れるような)よほどのことをしない限りクビにはなりませんし、勤め先が倒産する心配も一切ありません。
業績によって給与が変動することもほとんどなく、毎年必ずボーナスも出ます。
おまけに定年まで勤めれば、退職金もガッツリもらえます。
そのため、(計画的に貯金さえしていれば)結婚や出産、マイホーム購入、子供の学費など、ライフステージごとの大きな出費イベントにも余裕を持って対応できるでしょう。
裏を返せば、(退職金も含めた)生涯年収がどのくらいか、入庁した時点でだいたいわかってしまうということですが、安定志向の人にとっては極めて魅力的な環境です。
安定志向の強い公務員ですが、実はお金の面で堅実とは限りません。金遣いが荒い人や、全然貯金していない人もわりといます(若手の職員は特に)。
実際、僕の同期でも「3日後の給料日まで500円で生活しないといけない」とか言っている人もいました(笑)
なぜイメージとは裏腹に、公務員には浪費家が結構いるのでしょうか?
それは、給料もボーナスもほぼ固定されているため、お金の心配を一切しなくていいからです。
ローンも余裕で組めるので、現時点の給料に見合わない(?)車を買う同僚もいました。
そう考えると、日本人の多くが将来の心配をしなくて済む世の中になると、景気はあっという間に良くなるのかもしれません。
②地域(地元)に貢献したい
地域(地元)に貢献したいという崇高な志を持って公務員になる人もいます(国家公務員なら「国のため」という動機です)。
今のご時世、こうした志を持っている人は本当に貴重ですし、心から尊敬します。
まさに公務員の鑑です。
当然、このタイプの人は一生懸命働きます。
公務員が皆こういう意識を持っていたら、日本はちょっとはマシになるかもしれません。
ちなみに情けないことに、僕はここまで高い意識を持てませんでした。
今振り返ると、仕事に真剣になれないことがしばしばあったように思います。
ただし、安定志向とは異なり、皆が皆こうした意識を持っているとは限りません。
むしろ、はっきりと「地域のために働きたい」と考えている人は半分もいないかもしれません。
地域のために頑張って働きたいのに、周りはそんなモチベーションじゃないんだ…
こう思う方もいるかもしれませんが、たいていの人は(動機にかかわらず)まじめに働いています。
特に本庁はその傾向が強いので、「周りが皆やる気なかったらどうしよう」とそこまで心配しなくても大丈夫です。
僕の同僚には、いつも「仕事めんどくさいな」「帰りたいな」とか言いながらも、なんだかんだちゃんと仕事している人もいました。
そういう割り切りができない僕からすると、「そんなブーブー文句垂れながら、なんで真面目に仕事できるんだろう?」と不思議で仕方がありませんでしたが。
③出世したい
国家公務員はもちろんですが、地方公務員でも出世欲に燃えている人はそれなりにいます。
出世のことしか考えないのはどうかと思いますが、②と同様、このタイプも一生懸命仕事する人が大半です。
実態としては、②と③のハイブリッド型が多いかもしれません。
まあ、動機はどうであれ、頑張って仕事する人が多いに越したことはないのですが。
なお、出世コースの部署に関しては以下の記事で解説しています。役所の出世事情が気になる方はこちらもご覧ください。
④ブラックな民間企業から脱出したい
ブラックな民間企業から脱出して公務員になる人も結構います。
「公務員なら、少なくとも今いる会社よりはブラックじゃないだろう」というイメージがあるからです。
たいていはその通りなのですが、役所でも部署によってはブラックな労働環境のところもあります。
そのため、「せっかく公務員になったのに労働時間は長いまま…」という可能性もなきにしもあらずです。
ただし、営業ノルマのようなプレッシャーはないので、労働時間は長くても精神的に楽だと感じるかもしれません。
民間からの転職組も、②や③と同様、まじめに仕事する人が多い印象です。
⑤趣味に全力投球したい
「仕事は仕事」として完全に割り切り、趣味に全力投球するため公務員になる人もいます。
その結果、趣味の世界でセミプロ、場合によってはプロレベルに達する、なんてこともあります。
ただし、公務員は副業が原則禁止なので、趣味で稼ぐことは基本的にはできません。
とはいえ、安定した身分と収入が手に入るため、趣味に打ち込みたい人にとって公務員は最適かもしれません。
ちなみに男性の場合、(レベルにかかわらず)スポーツやアウトドアに打ち込む人が多かったように思います。
たとえば毎週のように山登りをしたり、マラソンの大会に出たり、みたいな感じです。
事務系の公務員は基本デスクワークなので、外で思いっきり体を動かしたくなる気持ちはよくわかります。
僕も一度、同僚に人数合わせで草野球に誘われたことがありました(実は野球経験あり)。
ただ、想像以上にレベルが高くてノーヒットでしたが(笑)
なお、趣味に打ち込む系の人がまじめに仕事するかどうか、あるいは優秀かどうかは完全に人によりけりです。
⑥夢が叶わなかったから
夢を諦め、現実的な選択肢として公務員になる人もいます。
最もよくあるのが、法曹を目指して司法試験の勉強をしていたものの、見切りをつけて公務員試験にシフトするパターンです。
司法試験の勉強をしていた人からすると、公務員試験の法律の問題など余裕で解けるため、シフトしやすいのでしょう。
また役所では、部署によっては法律の知識が必要なこともあるため、司法試験の勉強は必ずしも無駄にはなりません。
ほかにも、学者や研究者を目指して大学院で勉強していたものの、諦めて公務員になる人もいます。
院卒で公務員になる場合、このパターンが結構あります。
弁護士など狭き門の専門職を断念した人にとって、公務員は雇用の受け皿になっているのかもしれません。
なお、公務員試験の年齢制限はだいたい30歳前後です。
法曹や研究者を目指して頑張っているものの、なかなかその夢が叶わない人にとって、この年齢は決断を迫られるタイミングなのでしょう。
年齢を重ねるごとに人生の選択肢が狭まっていくという、シビアな現実を思い知らされますね!(←自分に言い聞かせる)。
おわりに―公務員になる理由・動機はいろいろ―
今回は、公務員になる理由や動機について、実際に役所で働いていた経験をもとに解説しました。
公務員=安定志向というイメージが一般的ですが、それ以外にも結構いろいろな動機があることを知っていただけたのではないでしょうか。
なお、実際にはどれか1つの理由・動機ではなく、上に挙げたものの(あるいはそれ以外も含めた)ハイブリッド型がほとんどです。
前述の②(地域に貢献したい)と③(出世したい)もそうですが、たとえば⑤(趣味に全力投球)や⑥(夢を諦めた)の動機の土台には、たいてい①(安定志向)があります。
やはり、なんだかんだ安定は大事だということです。
そう考えると、30歳手前にして「安定なんてク〇くらえだ!」とイキって(?)公務員を辞め、好き勝手やっている僕のような人間は、いろいろな意味でヤバいのかもしれません。
もういい歳なんだから、こんなブログなんか書いていないで、ちょっとは大人になりなさい。
そんな声が聞こえてきそうです。まあ、「知るかボケ」という感じですが。
それはさておき、最後まで読んでいただきありがとうございました。