公務員の仕事

【都道府県庁の職員向け】県税事務所、出世コースの担当税目ランキング

都道府県職員になると、多くの人は税金の仕事を一度は経験します(行政職の場合)。

ジョブローテーションの関係でほぼ必ず出先機関での勤務があり、事務職にとって最も代表的な出先機関が県税事務所だからです。

出先機関というと「左遷」のイメージがあるかもしれませんが、若手のうちは全くそんなことはありません。

たとえ東大卒だろうと、若いうちに「現場」(一般の方と直接やりとりする職場)の経験を必ず積みます。

県税事務所では税目ごとに担当業務が割り当てられますが、その中には将来出世しそうな職員が担当する(可能性の高い)「花形」の税目が存在します。

この記事では、某県の県税事務所で複数の税目を担当した経験のある僕が、独断と偏見で「出世税目ランキング」を紹介します。

もちろん異論は認めますので(笑)、都道府県庁職員を目指している方や、現役で県税事務所に勤めている方などは参考程度に読んでみてください。

都道府県税の税目は何がある?

最初に前提知識として、都道府県税(地方税)にはどんな種類があるのか簡単に紹介します。

都道府県税のうち、都道府県に納めるものは以下のとおりです。
※厳密な区分ではなく、わかりやすさ重視で書いています。より正確に知りたい方は「県税 税目」などでググってください。

  • 法人二税(事業税・県民税)
  • 個人事業税
  • 不動産取得税
  • 自動車税
  • 軽油引取税
  • 鉱区税
  • たばこ税
  • ゴルフ場利用税
  • 狩猟税

それぞれ直接税か間接税かなどの区分もありますが、本題から逸れるのでここでは割愛します。

県税事務所、出世税目ランキング

以上を踏まえた上で、僕の独断と偏見で出世税目ランキングをつくると以下のようになります。

  • 1位:法人二税
  • 2位:不動産取得税
  • 3位:個人事業税
  • 4位:自動車税
  • 5位:内部的な管理業務(担当税目なし)
  • 6位:軽油引取税
  • 7位:その他もろもろ

1位:法人二税

堂々の第1位は、法人二税(事業税・県民税)です。

法人関連の税金は制度が難解で、かなり頭を使います。
申告の内容に不備や疑義がある場合は、税理士や企業の経理担当者とガミガミ(?)やり合わないといけないので、精神的にも結構キツイです。

向こうは税や経理のプロなので、こちらもしっかりと知識を持ち理論武装しないと言いくるめられてしまうおそれもあります。

おまけに申告が集中する時期は非常に忙しく、深夜まで残業し、休日に出勤することもしばしばです。

こんな感じで、頭脳面でも体力面でも都道府県税の担当税目としては一番タフかもしれません。

ちなみに、僕は県税事務所に異動したとき法人二税担当でしたが、色々とやらかしまくって1年で戦力外(ほかの税目担当に配置転換)になりました(笑)

情けないことに、頭脳的にも体力的にもついていけなかったということです。
今振り返ると、この時期はメンタル的に結構やられていたように思います(当時の苦い記憶はこちら↓の記事でHSPと絡めて書いています)。

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こんな感じで難易度が高く忙しい業務なので、出世頭の若手にとっての登竜門と言ってもいいでしょう。

ローニン

ということは、僕も当初は出世コースに乗っていたということでしょうか…??

2位:不動産取得税

不動産取得税も制度が複雑であり、かなり頭を使います。
現地調査では細かい査定(評価)をする必要があり、丁寧に職務をこなす能力が求められます。

僕は担当したことはないのでこれ以上詳しいことは書けませんが、当時の同僚などの話を聞く限り、法人二税と並んで花形の税目のようでした。

3位:個人事業税

法人と同様、個人で仕事をしている人に対しても事業税(地方税)が課せられます(所得が290万円以上の場合)。

法人に比べるとそれほど制度は難しくないものの、納税通知書を発送する直前の時期(確か6~7月頃)は非常に忙しくなります。

僕のいた事務所では、個人事業税担当はゴルフ場利用税やたばこ税担当なども兼務しており、覚えることが多く大変そうでした。

もろもろを総合すると、法人と不動産に次ぐ3位が妥当かと思われます。

4位:自動車税

自動車保有者にとって最大の天敵(?)である、自動車税の担当が4位です。

皆期限通りに納付してくれれば問題ないのですが、経済的事情で払えない人や納付を忘れてしまう人、さらには意図的に踏み倒そうとする人も一部います。

そういう人たちに対し、分割納付の手続きをしたり督促したり、場合によっては差し押さえをしたりするのが自動車税担当です(実際には自動車税以外の督促なども行いますが)。

納付期限の迫る5月頃は非常に忙しくなるほか、基本的に一年中クレームに立ち向かうことになります。
経済的に厳しい状況の人とやり取りすることも多く、メンタル的には一番ダメージを食らう税目かもしれません。

5位:内部的な管理業務(担当税目なし)

特定の税目ではなく、事務所内部の予算や給与、人事などの業務の担当です。
加えて、納税証明書の発行といった窓口業務や、還付金の振り込みなども行います。

最も地味な業務ですが、人事異動前後の3月下旬~4月上旬は殺人的な忙しさになることも珍しくありません。
そしてなぜか女性が担当することが多いです。

ローニン

僕は公務員を辞める際に、退職の手続きで大変お世話になりました。

6位:軽油引取税

軽油引取税担当を6位にしました(ガソリン税が有名ですが、実は軽油にも税金がかかっています)。

理由は法人や個人、不動産、自動車に比べマイナーな税目だからです。

僕は法人担当をクビ(?)になった後、軽油引取税担当になりました。
法人に比べるといわゆる書類仕事の難易度は高くなく、残業もほとんどありませんでした。

このように書くとただの閑職のように思われるかもしれませんが、軽油引取税担当ならではの業務があります。
それが不正軽油による脱税事案の調査です。

守秘義務の関係上、詳細は書けませんが、大規模な摘発&家宅捜索に入ったこともありました。

こうした業務を主導するのは本庁の税務課ですが、各県税事務所の軽油担当も普段から管轄地域の情報収集(怪しい業者への張り込み・パトロールなど)を行っています。
家宅捜索当日には数十人規模で複数の拠点に突入し、帳簿などの書類を押収したり不正軽油の証拠を押さえたりしました(写真撮影や採油など)。

ある意味、一番体を張るのは軽油引取税担当かもしれません。

7位:その他もろもろ

ゴルフ場利用税やたばこ税、鉱区税、狩猟税など、それ以外のマイナーな税目担当もあります。
ただ、前述のように個人事業税など他の税目担当が兼務することが多く、単独で担当することは少ないかもしれません。

そもそも、都市部だとゴルフ場や鉱区がないため、これらの税目担当そのものが存在しないこともよくあります。

そうしたことも踏まえて最下位にしました。

おわりに

今回は都道府県の税事務所において、「出世しやすい担当税目はどれか」というテーマで書いてみました。

改めてことわっておきますが、以上のランキングはあくまでも僕の独断と偏見で作ったものであり、自治体によっては異なることも考えられます。

仮にこのランキングが正しいとしても、内部的な管理業務や軽油引取税担当だからといって出世コースに乗れないわけではありません。

また、法人・不動産・個人をトップ3にしましたが、これは僕のいた県の場合、大卒区分で入庁した若手職員が担当することの多い税目だったから、という理由もあります(逆に自動車税や軽油引取税などは高卒区分の人が担当することが多かったです)。

僕の経験上、学歴と仕事のできるできないはほとんど関係ないので、ランキング上位の税目担当者が優秀とは限りません(その逆もしかり)。

あくまでも「花形税目を挙げろと言われたらこんな感じだろう」というノリで書いたものなので、参考程度に読んでいただければ幸いです。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。