はじめに
公務員辞めようか悩んでいるんだけど、退職金っていくらもらえるのかな?
まだ数年しか働いていないから、やっぱり少ないよね?
公務員の中には、仕事のストレスや人間関係などで公務員を辞めたいと考えている方もいると思います。
そこで気になるのは、やはり退職金ではないでしょうか?
若手の場合は特に、今辞めてもほとんど退職金が出ないんじゃないかと心配な方も多いと思います。
そこで今回は、新卒で某県庁に入庁し、勤続5年で自己都合退職した僕が受け取った実際の退職金額を公開します。
若手のうちに辞めるとどのくらいの退職金になるのか、リアルな数字を知りたい方は参考までに読んでみてください。
勤続5年で辞めた元県庁職員の退職金はいくら?
回りくどい説明は後にして、最初に具体的な金額を公開します。
僕がもらった退職金は、568,741円です。
これを多いと見ると少ないと見るかは、人それぞれだと思います。
僕個人の感想としては、思ったよりも多かったなという印象です。
ちなみに、税金などは一切引かれていません。
というのも、退職所得控除によって課税対象額が0円になったからです。
勤続年数が20年以下の場合、控除額は40万円×勤続年数という式で算定されます(80万円に満たない場合は80万円が控除額)。
僕は実働5年+休業期間2年弱=約7年だったので、控除額は40万円×7=280万円でした。
568,741<2,800,000と、控除額の方が大きいので課税対象額は0円となり、税金がかからなかったということです。
僕の場合、実際には自己啓発等休業を利用した期間が2年弱あり、それも合わせると勤続7年弱になります。
しかし、休業中の期間は退職金の算定期間に含まれないため、実質的には勤続5年だったというわけです。
なお、自己啓発等休業の中の活動内容が「特に有用である」と認められ、復職した場合には休業期間の2分の1が退職金の算定期間に含まれます。
自己啓発等休業については以下の記事をご覧ください。
退職金の支給率(自己都合退職の場合)
非常にざっくりと書くと、退職金額は退職時の給料月額(月給)×支給率によって算定されます。
実際にはもっと複雑な計算をするのですが、基本的な考え方はこんな感じです。
では、自己都合で退職する場合、退職金の支給割合はどのくらいになるのでしょうか?
勤続年数ごとの支給率(月給の何か月分支給されるのか)を示したのが以下の表です(勤続16年目以降の支給率は参照元をご覧ください)。
勤続年数 | 支給率 |
---|---|
1年 | 0.5022 |
2年 | 1.0044 |
3年 | 1.5066 |
4年 | 2.0088 |
5年 | 2.511 |
6年 | 3.0132 |
7年 | 3.5154 |
8年 | 4.0176 |
9年 | 4.5198 |
10年 | 5.022 |
11年 | 7.43256 |
12年 | 8.16912 |
13年 | 8.90568 |
14年 | 9.64224 |
15年 | 10.3788 |
※内閣人事局「国家公務員退職手当支給率早見表」(地方公務員の支給率も基本的には国に準じています)参照
勤続年数が長くなるほど支給率が上がっていくのが分かります。
10年目までは1年ごとに約0.5か月分ずつ増えています。
退職時の月給も長く勤めるほど高くなっていくので、自己都合退職であっても、長く勤めるほど退職金額はどんどん増えていくということです。
僕の場合、退職時の給料月額は226,500円でした。
そこに支給率をかけると、226,500×2.511=568,741(1円未満切り捨て)となり、実際にもらった額と一致します。
なお、採用から退職までの期間に月単位での端数がある場合、6か月以上は1年と換算し、6か月未満は切り捨てます。
たとえば3年5か月勤めたなら勤続年数は3年、3年6か月なら4年になるということです。
補足:定年まで勤めあげたら退職金はいくらぐらい?
自己都合で退職すると、退職金額はどうしても少なくなってしまいます。
では、かりに定年(60歳)まで勤めあげたら、どのくらい退職金をもらえるのでしょうか?
都道府県、政令指定都市、市、町村、特別区ごとの平均退職金額(一般行政職)は以下の通りです。
平均退職金額 | |
---|---|
都道府県 | 約2,168万円 |
政令指定都市 | 約2,260万円 |
市 | 約2,225万円 |
町村 | 約2,107万円 |
特別区 | 約2,294万円 |
※総務省「令和2年地方公務員給与の実態 (soumu.go.jp)」参照
どの自治体でも、定年まで勤めれば平均で2,000万円以上もらえます。
勤続5年で自己都合退職した僕の40倍弱の額です。
これだけもらえれば、老後の資金にも困らないでしょう。
おわりに―自己都合退職でも長く勤めるほど退職金は多くなる―
今回は勤続5年という比較的若手の時点で公務員を辞めてしまった、僕の退職金額を公開しました。
改めて書くと、僕自身がもらった額は約57万円です。
大卒(上級)区分で入庁してこの額なので、高卒や専門卒の方はもう少し少なくなると思われます。
自己都合退職すると、当然定年退職よりも支給率は下がりますが、それでも長く勤めれば勤めるほどもらえる額は多くなります。
つまり若い頃に辞めると、退職金という点ではほとんどうまみがないということです。
それだけ辞めさせない力学が強く働いているともいえるでしょう。
若手のころに公務員を辞めるということは、こうした金銭的なうまみを諦めることを意味します。
もちろん、辞めた後に公務員以上に稼げればいいですが、半端な気持ちで辞めると経済的な点で後悔するかもしれません。
ただ、反対に、経済的安定のために公務員を続けることで後悔してしまう人も、もしかしたらいるのではないでしょうか。
僕は(幸か不幸か)そんな感覚を覚えてしまったので、思い切って退職する決断をしました。
今のところ、まだ後悔はしていません。
とはいえ、一度辞めると、再び採用試験を受けない限りもう公務員の世界には戻れません。
そのため、辞めるかどうか迷っている方は、「辞めた後に何をしたいのか」「(貯金や退職金の額を踏まえて)経済的には大丈夫そうか」といった点をよく考えてから決断しましょう。
と、こんな偉そうなことを書いておきながら、僕自身は気がついたら退職届を職場に持参していたので、最後は自分の直感と本能に従った方がいいのかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。