全国に20ある政令指定都市。
人口が多く(50万人以上)、都道府県から多くの権限を委譲されているのが特徴です。
そのため政令指定都市の市長は、都道府県知事に近いレベルの職務・職責を担うことになります。
では、そんな政令指定都市の市長にはどんな人がなるのでしょうか?
今回は、全20市の市長の経歴をまとめてみました。
なお、47都道府県知事の経歴については以下の記事でまとめているので、関心のある方はあわせてご覧ください。
政令指定都市市長の経歴等一覧
政令指定都市市長の経歴、就任年などをまとめたのが以下の表です。
自治体 | 氏名 | 年齢 | 就任年 | 主な経歴 |
---|---|---|---|---|
札幌市 | 秋元 克広 | 66歳 | 2015(2期目) | 札幌市職員 同副市長 |
仙台市 | 郡 和子 | 65歳 | 2017年(2期目) | アナウンサー 衆議院議員 |
さいたま市 | 清水 勇人 | 60歳 | 2009年(4期目) | 国会議員秘書 埼玉県議会議員 |
千葉市 | 神谷 俊一 | 48歳 | 2021年(1期目) | 総務官僚 千葉市副市長 |
横浜市 | 山中 竹春 | 49歳 | 2021年(1期目) | 大学教員 |
川崎市 | 福田 紀彦 | 49歳 | 2013年(3期目) | 国会議員秘書 神奈川県議会議員 |
相模原市 | 本村 賢太郎 | 51歳 | 2019年(1期目) | 神奈川県議会議員 衆議院議員 |
新潟市 | 中原 八一 | 62歳 | 2018年(1期目) | 国会議員秘書 新潟県議会議員 参議院議員 |
静岡市 | 田辺 信宏 | 60歳 | 2011年(3期目) | 大学教員 静岡市議会議員 静岡県議会議員 |
浜松市 | 鈴木 康友 | 64歳 | 2007年(4期目) | 会社役員 衆議院議員 |
名古屋市 | 河村 たかし | 73歳 | 2009年(4期目) | 会社役員 衆議院議員 |
京都市 | 門川 大作 | 71歳 | 2008年(4期目) | 京都市職員 |
大阪市 | 松井 一郎 | 58歳 | 2019年(1期目) | 会社経営 大阪府議会議員 大阪府知事 |
堺市 | 永藤 英機 | 45歳 | 2019年(1期目) | 会社員(SE) 大阪府議会議員 |
神戸市 | 久元 喜造 | 68歳 | 2013年(3期目) | 総務官僚 神戸市副市長 |
岡山市 | 大森 雅夫 | 68歳 | 2013年(3期目) | 国交省官僚 |
広島市 | 松井 一實 | 69歳 | 2011年(3期目) | 厚労省官僚 |
北九州市 | 北橋 健治 | 69歳 | 2007年(4期目) | 政党職員 衆議院議員 |
福岡市 | 高島 宗一郎 | 47歳 | 2010年(3期目) | アナウンサー |
熊本市 | 大西 一史 | 54歳 | 2014年(2期目) | 会社員(日商岩井メカトロニクス) 国会議員秘書 熊本県議会議員 |
※各市HPの市長プロフィール等をもとに作成(年齢は2022年4月6日時点)
この表をもとに、経歴ごとにまとめてみました。
会社員・役員を経て政治家になるなど、複数の経歴を持っている人も多いので、ここでは最初の職歴と最後(市長になる直前)の職歴に分け、以下の表とグラフにまとめました。
政令指定都市市長の最初の職歴 | 人数 |
国家公務員(キャリア官僚) | 4 |
地方公務員(市役所職員) | 2 |
議員秘書等 | 4 |
地方議員 | 1 |
会社員・役員等(マスメディア以外) | 5 |
マスメディア(キャスター等) | 2 |
大学教員 | 2 |
政令指定都市市長の最後の職歴 | 人数 |
国家公務員(キャリア官僚) | 2 |
地方公務員(市役所職員) | 1 |
副市長 | 3 |
国会議員 | 6 |
地方議員 | 5 |
知事 | 1 |
大学教員 | 1 |
マスメディア(キャスター等) | 1 |
最初の経歴の特徴
最初の経歴を見ると、キャリア官僚や議員秘書など、やはり政治・行政に関わる職種が多いことがわかります。
会社員や役員など、民間出身者も5人と比較的多めです。
一方で市役所の職員出身者は2人だけであり、思ったより少ない印象です。
ちなみに都道府県知事の場合、最初の職歴がキャリア官僚の人が全体の6割近くを占めています。
知事と比べると、政令指定都市市長の職歴は比較的ばらけているのではないでしょうか。
市長になる直前の経歴の特徴
市長になる直前の職を見てみると、国会議員や県議会議員など政治家が半分以上(計11人)を占めています。
またキャリア官僚や副市長から市長になる人も多く、やはり政治・行政の仕事を経験した人が市長になる傾向があります。
なお、副市長は大きく分けて、キャリア官僚が出向して就任するパターンと、生え抜きの市職員が就任する2パターンがあります。
政令市など大きな自治体では複数人いるのが一般的です(たとえば横浜市は4人)。
以上の傾向を見ると、キャリア官僚や議員秘書などからキャリアをスタートし、国会議員や地方議員・副市長などを経て市長になるのが王道パターンだといえます。
政令指定都市市長の給料は?
ついでに政令指定都市市長の給料も見てみましょう。
総務省の「給与・定員等の調査結果等」の「特別職の定数及び平均給料(報酬)月額」によると、政令指定都市市長の令和3年の給料(報酬)月額は、全市の平均で約114万7千円となっています。
最も高いのは横浜市で159万9千円、最も低いのは名古屋市で50万円です(名古屋市は市長が条例で自らの給料を引き下げています)。
まとめ
今回は政令指定都市の市長の経歴についてまとめてみました。
各市長の経歴を見てみると、キャリア官僚出身者や政治家の経験者が多いことがわかります。
一方で、市役所職員から生え抜きとして市長になるパターンは少ない印象です(札幌市長と京都市長のみ)。
将来的に市長になりたいという野心あふれる(?)方がこのブログを読んでいるかはわかりませんが、政令市の市長になるなら市役所よりも中央省庁(特に総務省)のキャリア官僚になる方が手っ取り早そうです。
また、議員秘書などを経て政治家になった上で、市長に立候補するパターンも王道といえます(政治家になれば選挙の地盤を固めやすいと考えられます)。
各市長の経歴が気になった方などの参考になれば幸いです。