公務員の年収・給料

【月給・ボーナス】若手地方公務員の収入で、どのくらい貯金できる?【元県職員が実体験をもとに解説】

公務員として働く上での大きな魅力は、なんといっても収入が安定している点にあります。

特に最近は、コロナ禍の影響で社会の先行きが不透明になっているため、安定を求める声はますます高まっていると思います。

しかし、収入が安定している=給料が高い、というわけではありません。

公務員の給料は年功序列ですが、裏を返せば若手の頃は給料が安い、という言い方もできます。

ローニン
ローニン
実際、民間の大手企業に就職した同級生などと比べると、県職員だった僕の給料は結構低かったです。

じゃあ、実際のところ、若手の公務員の給料はどのくらいなの?

地方公務員の給料でも貯金はたくさんできるのかな?

今回は、某県庁で新卒1年目~5年目まで働いた経験をもとに、そんな疑問にお答えしたいと思います。

※なお、僕が働いていた県は、めちゃくちゃ大都市というわけでもなければ、ド田舎というほどでもありませんでした。政令指定都市や東京特別区などではもっと給料は高くなりますし、田舎の方の県や市町村ではもう少し給料は低いイメージです。そのあたりを考慮して読んでいただけると幸いです。

結論:そこまでぜいたくしなければ、結構貯金できる。

先に結論を言うと、極端にぜいたくをしなければ、それなりに貯金できます。

僕の場合、ボーナスのうち、だいたい7,8割は貯金に回し、月給もだいたい毎月1~2万くらいは貯金していたおかげで、5年間で400万近く貯めることができました

とはいえ、無理して節約していたわけではありません。
週の半分くらいは外食していましたし、飲み会も週1くらいのペースで行っていました(ちなみに、公務員の飲み代は仕事関係であっても全て自腹です。当たり前ですが)。

アパートで一人暮らしでしたが、家賃は約6万円。
僕のいた地域では、いたって普通の額です。
住居手当が2万7千円支給されていたので、実質的な負担は3万円ちょっとでした。

というわけで、食費や交際費、住居費などを切り詰めている意識はありませんでした。

仮にもう少しお金を使っていたとしても、5年で200~300万くらいは普通に貯められただろう、というのが僕の実感です。

ローニン
ローニン
実家暮らしの人や家賃の安いアパートに住んでいる人は、もっと簡単に貯められると思います。

逆に言えば、貯金なんかまったくしないぜ!というスタンスなら、結構ぜいたくできるということです(同僚の中には、そういう「宵越しの銭は持たない」タイプの人も一部いました。)。

ただ、これだけだとあまりにざっくりとし過ぎているので、以下では僕の1年目~5年目までのおおよその手取り額を具体的に書いていきます。

※なお、以下に示す月給は住居手当(2万7千円)を含めたものです。
実家暮らしなどの場合は、マイナス3万弱が実際の手取り額と見ておいた方がいいでしょう。

僕の具体的な手取り額(月給・ボーナス)

1年目:月給約18万、ボーナス40万ちょっと(夏・冬合わせて)

1年目の手取りは、約18万円でした。
基本給+地域手当で20万ちょっと+住居手当2万7千円=額面23万くらいでしたが、もろもろで5万円くらい天引きされます。

夏のボーナスは満額は出ませんが、8~9万円くらいはもらえました。
冬は満額出るので、合わせると40万円ちょっとでした。

ローニン
ローニン
1年目は新生活のために家具・家電を買ったので、ボーナスも含めあまり貯金はできませんでした。

2年目:月給は1年目と変わらず。ボーナスは70万円台後半

2年目になると新たに住民税が課され、昇給分を相殺してしまいます。

そのため、実質的な手取りは1年目とほとんど変わりません(泣)

ローニン
ローニン
住民税は地方税なので、地方公務員としては文句は言えません…。

ただ、ボーナスは昇給分も加味されるので、1年目の冬よりもたくさんもらえます。
2年目から、ようやくまとまったお金を貯金できるようになりました。

3年目:月給約19万ちょっと。ボーナスは約80万。

3年目の夏ごろに、基本給の基準となる「級」が上がりました(1級から2級へ。ただし役職は「主事」のまま)。

そのおかげで、手取りは2年目よりも1万円ほど増えました。

当然ボーナスも増えます。
1回のボーナスで手取りが40万円を超えたのも、このころだったと思います。

4年目:残業代のおかげで月給約23~26万、ボーナスは80万以上。

出先機関に異動したのですが、たまたま忙しい業務の担当になってしまったため、本庁時代より明らかに残業が増えました。

本庁にいたころは、時間外手当(残業代)はだいたい月数千~1万円ほどで、ゼロの月もありましたが(本庁では珍しい方です)、出先に異動してからは毎月3万~6万くらいつきました。

残業時間に換算すると、だいたい20~40時間くらいでしょうか。
ただし、これはあくまでも残業として認められた時間です。

僕のいた県では、事前に「今日は〇時間残業します」と申請し、上司の承認を得ないと時間外手当がもらえないシステムでした。

しかし、申請をしなかったけれど、やむをえず残業をしてしまうこともあります。

また、申請していたのは2時間分でも、仕事が終わらず3~4時間(場合によってはそれ以上)残業することもよくありました。

そのため、実質的な残業時間は承認された時間の2倍ほどあったと思います。
つまり、半分くらいはサービス残業だったということです。

公務員の場合、部署ごとに残業代にあてられる予算が決まっているので、年度途中で使い切ってしまわないよう、暗黙の了解でサービス残業をすることも結構あるのです。

※サービス残業の実態については以下の記事で解説していますので、興味のある方はご覧ください。

公務員の時間外手当、ちゃんと出る?【サービス残業の実態を解説】 安定していてホワイトなイメージのある公務員ですが、決してホワイトとは言えない面もあります。そのうちの一つが時間外手当(いわゆる...

話が少しそれてしまいました。

手取りの話に戻すと、(サービス残業があったとはいえ)この時期一番稼いでいました。
この1年だけで100万以上は貯金できたと思います。

5年目:残業が少なくなり月給約20万。ボーナスは85万前後。

あまり忙しくない業務の担当に変わったことで、時間外手当がガクンと減りました。

もちろん昇給はしたのですが、残業が少なくなった(というかほぼなくなった)ため、毎月の手取りは20万円程度に減ってしまいました。

昇給した分ボーナスは増えたため、トータルの年収は月給ほど大きくは減らなかったと思います。

ただ、前年の年収が大きく増えたため、住民税も高くなりました。
社会保険料なども含めると、月7万以上は天引きされていたはずです。

ちなみに、5年目のときの源泉徴収票を見てみると、額面の年収は約450万円となっています。

※なお、僕は出先機関で税金関係の仕事をしており、「税務手当」と呼ばれる手当が月1万ちょっと支給されていました。もしこの手当がなかった場合、5年目でも手取りは19万程度だったことになります。

初級職で一人暮らしは結構大変

ここまで、若手地方公務員(県職員)のリアルな手取り額について書いてきましたが、これはあくまでも上級職(大卒)の場合です。

初級職(高卒)の場合、基本給は上級よりも3~4万円ほど少ないので、若手の頃の手取りは(住居手当を含めても)15~16万円台となってしまいます。

ボーナスも基本給をベースに計算するため、上級よりも当然少なくなります。

そう考えると、初級職の人が一人暮らしをするのは結構大変かもしれません。
(とはいえ、僕の周りでも一人暮らしをしている初級職の若手職員はたくさんいたので、決して生活できないわけではありません)

おわりに―基本給以外の手当が重要?―

今回は地方公務員の給料でどのくらい貯金できるのかについて、僕自身の経験をもとに書いてきました。

僕の4年目の経験からも分かるように、貯金をする上では、時間外手当がどれだけもらえるかが結構大事だったりします。

時間外手当などがなくてもそれなりに貯金はできますが、やはりないよりはあった方がマシです。
もちろん、忙しいのは嫌だ!という人もいると思うので、一概には言えませんが…。

ちなみに、本庁の中でも出世コースとされる課は忙しいことが多いですが、時間外手当も割としっかり支給されることが多いようです。

逆に出先機関などでは、残業が多かったとしても、時間外手当のための予算が少なく、サービス残業を余儀なくされるということもよくあります(4年目の僕がまさにそうでした)。

このあたりに、課や部署間の力関係が見え隠れします。

そう考えると、役所という組織の中でがっつり稼ぎたいなら、やはり出世コースに行くのが一番なのかもしれません。

ローニン
ローニン
もちろん、一番重要なのは、自分の希望する業務ができるかどうかだとは思いますが。

なお、最後に書いておくと、公務員の中には非正規の職員が結構います。

非正規の場合、初級職よりもさらに給料は低く、ボーナスも出ないのが一般的です。

そのため、非正規の公務員が一人暮らしをしていくのは相当に厳しいと言わざるを得ません(最近では「官製ワーキングプア」という言葉もあるくらいです)。
それでいて正規職員と仕事の内容は同じということも珍しくないので、大きな問題だと思います。

今日のテーマからは外れるので、この問題は機会があればまた取り上げるつもりです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

公務員はお金に無関心?←そんなことありません【株式投資・資産運用など】 ご存じのとおり、公務員は強固な年功序列制であり、業績による給料の増減もほとんどない、極めて安定した職業です。おまけに副業も原則...
ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。