政令指定都市は発展しているから、やっぱり職員の給料も高いかな?
地方公務員を目指している人にとって、各自治体の年収は気になるところでしょう。
今回は「政令指定都市」に焦点を当て、各市の年収をまとめてみました。
比較対象として都道府県職員の年収も調べたので、参考にしていただければと思います。
そもそも、政令指定都市とは?
政令指定都市とは、人口が50万人以上の大規模な市のことです。
※ただし、50万人以上で指定されていない市もあります(実際には70万人以上が指定の目安となっている)。
保健衛生、都市計画、教育などの権限が都道府県から移譲されており、市が独自に運営しています。
現在、全国に20市あり、政令指定都市だけで日本の人口の約20%を占めています。
政令指定都市年収ランキング
政令指定都市職員(一般行政職)の年収を高い順に並べたのが以下の表です。
順位 | 都市 | 平均給与月額 (諸手当込み) |
期末・勤勉手当 (千円未満切り捨て) |
平均年収 (千円未満切り捨て) |
---|---|---|---|---|
1 | 川崎市 | 458,313 | 181.4万 | 731.4万 |
2 | さいたま市 | 459,667 | 173.7万 | 725.3万 |
3 | 千葉市 | 458,081 | 174.6万 | 724.3万 |
4 | 大阪市 | 444,776 | 182.0万 | 715.8万 |
5 | 名古屋市 | 450,331 | 175.0万 | 715.4万 |
6 | 神戸市 | 446,323 | 178.1万 | 713.7万 |
7 | 京都市 | 438,960 | 177.3万 | 704.0万 |
8 | 横浜市 | 427,190 | 188.7万 | 701.3万 |
9 | 仙台市 | 441,793 | 167.4万 | 697.6万 |
10 | 岡山市 | 431,607 | 175.2万 | 693.1万 |
11 | 北九州市 | 423,749 | 178.0万 | 686.5万 |
12 | 堺市 | 422,777 | 167.7万 | 675.0万 |
13 | 広島市 | 416,426 | 172.8万 | 672.5万 |
14 | 福岡市 | 421,127 | 164.3万 | 669.7万 |
15 | 相模原市 | 418,757 | 166.1万 | 668.6万 |
16 | 静岡市 | 419,238 | 165.0万 | 668.1万 |
17 | 熊本市 | 406,679 | 159.9万 | 647.9万 |
18 | 浜松市 | 393,984 | 166.8万 | 639.6万 |
19 | 新潟市 | 394,130 | 160.7万 | 633.6万 |
20 | 札幌市 | 378,990 | 149.9万 | 604.7万 |
参照:総務省「給与・定員等の調査結果等」(令和2年)
「平均給与月額」とは、基本給に、月ごとに支払われる全手当(扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、時間外勤務手当(残業代)等)の額を合計したものを指します。
ようするに、実際の額面の月給です。
「平均給与月額」の12か月分に、「期末・勤勉手当(=ボーナス)」の額を加えたのが、平均年収です。
最も高いのは川崎市で約731.4万円、最も低いのは札幌市で約604.7万円となっています。
平均年収が700万円を超えている市は、全部で8つあります。
都道府県よりも政令指定都市の方が高年収?
しばしば、「都道府県よりも政令指定都市の方が年収が高い」と言われますが、実際のところどうなのでしょうか。
政令指定都市を擁する都道府県と、各都道府県内の政令指定都市の年収を比較したのが以下の表です(所在する都道府県よりも年収が高い市は太字で表記)。
平均給与月額 | 期末・勤勉手当 (千円未満切り捨て) |
平均年収 (千円未満切り捨て) |
|
---|---|---|---|
札幌市 | 378,990 | 149.9万 | 604.7万 |
北海道 | 389,524 | 157.9万 | 625.3万 |
仙台市 | 441,793 | 167.4万 | 697.6万 |
宮城県 | 420,390 | 164.6万 | 669.1万 |
さいたま市 | 459,667 | 173.7万 | 725.3万 |
埼玉県 | 416,782 | 169.1万 | 669.2万 |
千葉市 | 458,081 | 174.6万 | 724.3万 |
千葉県 | 410,758 | 165.9万 | 658.8万 |
横浜市 | 427,190 | 188.7万 | 701.3万 |
川崎市 | 458,313 | 181.4万 | 731.4万 |
相模原市 | 418,757 | 166.1万 | 668.6万 |
神奈川県 | 438,190 | 175.4万 | 701.3万 |
新潟市 | 394,130 | 160.7万 | 633.6万 |
新潟県 | 401,652 | 168.2万 | 650.1万 |
静岡市 | 419,238 | 165.0万 | 668.1万 |
浜松市 | 393,984 | 166.8万 | 639.6万 |
静岡県 | 430,243 | 174.0万 | 690.2万 |
名古屋市 | 450,331 | 175.0万 | 715.4万 |
愛知県 | 428,332 | 173.8万 | 687.8万 |
京都市 | 438,960 | 177.3万 | 704.0万 |
京都府 | 406,210 | 168.0万 | 655.5万 |
大阪市 | 444,776 | 182.0万 | 715.8万 |
堺市 | 422,777 | 167.7万 | 675.0万 |
大阪府 | 438,796 | 177.6万 | 704.1万 |
神戸市 | 446,323 | 178.1万 | 713.7万 |
兵庫県 | 423,459 | 174.1万 | 682.3万 |
岡山市 | 431,607 | 175.2万 | 693.1万 |
岡山県 | 416,855 | 171.8万 | 672.0万 |
広島市 | 416,426 | 172.8万 | 672.5万 |
広島県 | 418,407 | 176.5万 | 678.6万 |
北九州市 | 423,749 | 178.0万 | 686.5万 |
福岡市 | 421,127 | 164.3万 | 669.7万 |
福岡県 | 416,646 | 166.7万 | 666.7万 |
熊本市 | 406,679 | 159.9万 | 647.9万 |
熊本県 | 396,916 | 164.8万 | 641.1万 |
参照:総務省「給与・定員等の調査結果等」(令和2年)
やはり、全体的に政令指定都市の方が、都道府県よりも年収が高い傾向があることがわかります。
所在する都道府県よりも年収の低い市は、札幌市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、堺市、広島市の7市です。
さいたま市と埼玉県、千葉市と千葉県のように、市と県の間で50~60万円以上も年収に差があるところもあります。
平均で見ても政令指定都市の方が高年収
全ての地方公共団体と都道府県、政令指定都市の平均給与月額や平均年収などをまとめたのが以下の表です。
団体区分 | 平均給与月額 | 期末・勤勉手当 (千円未満切り捨て) |
|
全地方公共団体 | 400,860 | 151.7万 | 632.7万 |
都道府県 | 413,722 | 164.5万 | 660.9万 |
政令指定都市 | 430,033 | 171.2万 | 687.2万 |
参照:総務省「令和2年地方公務員給与実態調査結果等 (2.平均給与月額)」
平均で見ても、やはり都道府県よりも政令指定都市の方が高年収であることがわかります。
全地方公共団体の平均と比べると、年収ベースでは50万円以上も高くなっています。
政令指定都市の方が都道府県よりも年収が高くなりやすい理由
なぜ、政令指定都市の方が都道府県よりも年収が高くなる傾向があるのでしょうか。
その理由は、地方公務員の給料の決め方にあります。
地方公務員の給与は、その自治体にある(従業員数50人以上の)民間企業の平均に合わせて決められています。
政令指定都市であればその市内の企業のみが対象である一方で、都道府県では都市部から田舎の方の市町村まで、県内のすべての企業が比較対象となります。
都会にある企業の方が規模が大きく、年収も高い場合が多いので、政令指定都市の職員の年収も、それに応じて高くなりやすいというわけです。
また、地域手当の支給率の差も影響しています。
地域手当とは、勤務地の生活費の違いに応じて支給される手当のことで、一般に、物価の高い都市部ほど支給率が高くなります。
最も高いのは東京特別区(23区)で、基本給等の20%が地域手当として支給されています。
政令指定都市と都道府県の地域手当支給率および支給額をまとめたのが以下の表です(都道府県は太字、都道府県よりも支給率・支給額が高い市は赤字で表記)。
地域手当支給率(%) | 地域手当月額 | |
札幌市 | 3 | 9,700 |
北海道 | 1.09 | 4,112 |
仙台市 | 6 | 20,900 |
宮城県 | 3.23 | 12,100 |
さいたま市 | 15 | 50,500 |
埼玉県 | 8.3 | 28,300 |
千葉市 | 15 | 50,600 |
千葉県 | 9.2 | 29,900 |
横浜市 | 16 | 52,000 |
川崎市 | 16 | 54,700 |
相模原市 | 12 | 38,900 |
神奈川県 | 12 | 41,000 |
新潟市 | 3 | 10,197 |
新潟県 | 0.14 | 815 |
静岡市 | 6 | 20,400 |
浜松市 | 3 | 10,800 |
静岡県 | 3.7 | 13,600 |
名古屋市 | 15 | 49,800 |
愛知県 | 8.5 | 29,391 |
京都市 | 10 | 34,600 |
京都府 | 7.32 | 26,200 |
大阪市 | 16 | 53,500 |
堺市 | 10 | 33,800 |
大阪府 | 11.8 | 39,496 |
神戸市 | 12 | 41,700 |
兵庫県 | 7.42 | 27,620 |
岡山市 | 3 | 11,300 |
岡山県 | 1.68 | 6,448 |
広島市 | 10 | 33,500 |
広島県 | 4.95 | 17,574 |
北九州市 | 3 | 11,600 |
福岡市 | 10 | 33,100 |
福岡県 | 5.4 | 18,289 |
熊本市 | 0 | 453 |
熊本県 | 0 | 590 |
やはり地域手当の支給率の高さも、政令指定都市の年収の高さの要因だと言えそうです(ボーナスも地域手当を加味した額をもとに算定します)。
※なお、支給率が0%の自治体(熊本市・熊本県)でも、月額としては数百円支給されていますが、これは東京事務所など、市外・県外で勤務している職員がいるためだと考えられます。
まとめ
今回は、政令指定都市職員の年収を中心に調べてみました。
まとめると以下のようになります。
- 政令指定都市の年収は、少ないところでは600万円代前半、多いところでは700万円台前半というところもある。
- 所在する都道府県に比べ、年収が高い市が多い。
- これは一般に都市部の企業の方が給与が高く、それにともなって政令指定都市の年収も高くなるため。
- 都道府県に比べ、地域手当の支給率が高い傾向があることも影響していると思われる。
政令指定都市の職員は、地方公務員の中では収入面で恵まれている方だと言えそうです。
ただし、都市部ほど生活費(特に住居費)も高いので、住む場所はよく考えた方が良いかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。