公務員の年収・給料

そこそこ大きい「中核市」。全市の年収を調べて、ランキングにしてみた【市役所・地方公務員】

前回は、政令指定都市職員の年収を調べてみました。

政令指定都市職員は高年収?全市調べてみた【都道府県との比較も】 政令指定都市は発展しているから、やっぱり職員の給料も高いかな? 地方公務員を目指している人にとって、各自治体の年収は...

今回は政令市よりは小規模なものの、そこそこ大きな自治体である「中核市」の職員の年収をまとめてみました。

自治体の数が多く(62市)、採用枠もそれなりにあるので、中核市の採用試験を受けようと思っている方も結構いるのではないでしょうか。
今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

はじめに―中核市とは?―

中核市とは、人口20万人以上の市のうち、市の申出に基づき政令で指定したものを指します。
あくまでも申出に基づくので、人口20万人以上で中核市でない自治体もあります。

政令指定都市と同様、通常は都道府県が所管する行政事務を、市が独自に担うことができます
ただし、政令指定都市に比べると、担える事務の範囲は狭く、区を設置することもできません。

各都道府県の中核市と政令指定都市をまとめたのが以下の表です。
ほとんどの都道府県に、1市以上は中核市(あるいは政令指定都市)があることが確認できます。

都道府県 政令指定都市(人口:万人) 中核市(人口:万人)
北海道 札幌市(195) 函館市(33)
旭川市(26)
青森県   青森市(28)
八戸市(23)
岩手県   盛岡市(29)
宮城県 仙台市(108)  
秋田県   秋田市(31)
山形県   山形市(25)
福島県   福島市(29)
郡山市(33)
いわき市(35)
茨城県   水戸市(27)
栃木県   宇都宮市(51)
群馬県   前橋市(33)
高崎市(37)
埼玉県 さいたま市(126) 川越市(35)
川口市(57)
越谷市(33)
千葉県 千葉市(97) 船橋市(62)
柏市(41)
東京都   八王子市(57)
神奈川県 横浜市(372) 横須賀市(40)
川崎市(147)
相模原市(72)
新潟県 新潟市(81)  
富山県   富山市(41)
石川県   金沢市(46)
福井県   福井市(26)
山梨県   甲府市(19)
長野県   長野市(37)
松本市(24)
岐阜県   岐阜市(40)
静岡県 静岡市(70)  
浜松市(79)
愛知県 名古屋市(229) 豊橋市(37)
岡崎市(38)
一宮市(38)
豊田市(42)
滋賀県   大津市(34)
京都府 京都市(147)  
大阪府 大阪市(269) 豊中市(39)
吹田市(37)
高槻市(35)
枚方市(40)
堺市(83) 八尾市(26)
寝屋川市(23)
東大阪市(50)
兵庫県 神戸市(153) 姫路市(53)
尼崎市(45)
明石市(29)
西宮市(48)
奈良県   奈良市(36)
和歌山県   和歌山市(36)
鳥取県   鳥取市(19)
島根県   松江市(20)
岡山県 岡山市(71) 倉敷市(47)
広島県 広島市(119) 呉市(22)
福山市(46)
山口県   下関市(26)
香川県   高松市(42)
愛媛県   松山市(51)
高知県   高知市(33)
福岡県 福岡市(153) 久留米市(30)
北九州市(96)
長崎県   長崎市(42)
  佐世保市(25)
熊本県 熊本市(74)  
大分県   大分市(47)
宮崎県   宮崎市(40)
鹿児島県   鹿児島市(59)
沖縄県   那覇市(31)

参照:総務省HP 「指定都市・中核市の指定状況等」

中核市の年収ランキング

中核市職員(一般行政職)の年収を高い順に並べたのが下の表です。
※なお、平均給与月額とは、地域手当や住居手当、時間外手当などを含めた額面の月給のことです。

順位 市町村 平均給与月額 期末・勤勉手当 平均年収 人口
(万人)
1 豊田市 452,878 174.5万 717.9万 42
2 西宮市 438,761 177.0万 703.5万 48
3 八王子市 432,152 180.3万 698.9万 57
4 呉市 430,524 178.9万 695.5万 22
5 豊中市 429,176 178.9万 693.9万 39
6 大津市 428,848 171.8万 686.4万 34
7 横須賀市 431,733 165.1万 683.2万 40
8 吹田市 428,360 168.9万 682.9万 37
9 八尾市 426,309 170.0万 681.6万 26
10 岐阜市 427,060 168.1万 680.6万 40
11 奈良市 422,366 170.7万 677.6万 36
12 東大阪市 422,990 169.6万 677.2万 50
13 長野市 418,955 174.1万 676.8万 37
14 枚方市 423,925 167.7万 676.4万 40
15 和歌山市 421,409 170.2万 675.9万 36
16 姫路市 426,917 162.2万 674.5万 53
17 明石市 420,527 168.3万 673.0万 29
18 高槻市 423,023 164.2万 671.8万 35
19 豊橋市 424,709 161.2万 670.8万 37
20 倉敷市 421,741 162.3万 668.3万 47
21 川口市 417,185 164.7万 665.3万 57
22 高崎市 409,549 173.0万 664.4万 37
23 宇都宮市 411,476 170.5万 664.3万 51
24 郡山市 415,503 163.7万 662.3万 33
25 川越市 418,746 157.6万 660.1万 35
26 船橋市 414,406 157.1万 654.4万 62
27 甲府市 406,798 163.7万 651.8万 19
28 尼崎市 405,622 161.6万 648.4万 45
29 岡崎市 405,262 161.4万 647.7万 38
30 寝屋川市 405,307 159.4万 645.8万 23
31 高松市 403,318 161.6万 645.6万 42
32 金沢市 401,701 162.3万 644.3万 46
33 山形市 404,204 155.8万 640.9万 25
34 福井市 395,432 165.6万 640.1万 26
35 福島市 403,701 154.8万 639.2万 29
36 富山市 397,174 161.6万 638.2万 41
37 久留米市 397,448 160.8万 637.7万 30
38 鹿児島市 399,217 157.7万 636.8万 59
39 松山市 402,894 152.3万 635.8万 51
40 水戸市 398,308 157.8万 635.8万 27
41 いわき市 397,856 158.1万 635.5万 35
42 松江市 395,214 160.9万 635.1万 20
43 一宮市 388,725 167.3万 633.8万 38
44 鳥取市 397,600 154.8万 631.9万 19
45 大分市 388,792 164.3万 630.8万 47
46 前橋市 388,020 164.5万 630.1万 33
47 高知市 394,009 157.1万 629.9万 33
48 下関市 391,358 158.9万 628.5万 26
49 長崎市 391,794 157.9万 628.0万 42
50 越谷市 389,935 159.4万 627.3万 33
51 佐世保市 385,960 161.9万 625.0万 25
52 松本市 383,019 165.0万 624.6万 24
53 柏市 387,221 154.3万 618.9万 41
54 福山市 385,832 154.9万 617.9万 46
55 宮崎市 384,334 151.5万 612.7万 40
56 旭川市 385,143 149.5万 611.7万 26
57 青森市 383,336 143.0万 603.0万 28
58 函館市 373,100 153.9万 601.6万 33
59 盛岡市 372,174 148.1万 594.7万 29
60 秋田市 366,057 149.0万 588.3万 31
61 那覇市 350,057 142.0万 562.0万 31
62 八戸市 351,254 137.2万 558.7万 23

参照:総務省「給与・定員等の調査結果等」(期末・勤勉手当、平均年収は千円未満切り捨て)

中核市の中で最も年収が高いのは、愛知県豊田市(約717.9万円)でした。
トヨタの本社があるため、給与を決める上で比較対象となる民間企業の年収が高いのだと思われます。

ローニン
ローニン
さすが企業城下町という感じです。

最も年収が低いのは青森県八戸市(約558.7万円)で、豊田市とは160万円近い差があります。

順位をざっと見てみると、上位には中部や近畿地方の市が多く、下位には東北、中国、四国、九州地方の市が多い印象があります。

詳しく見るため、上位20市と下位20市を地方別にまとめたのが下のグラフです(中部地方には、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県の各市が含まれます)。

中核市に限れば、関東よりも近畿の方が、年収の高い自治体が多いことがはっきりとわかります。

そしてやはり、東北や中国・四国、九州・沖縄の自治体の年収が低いことがうかがえます。
民間企業の年収に明確な地域差があるということでしょう。

地域差に比べると、人口の多さ(自治体の規模)と年収の高さは、そこまで関係がないと言えそうです。

都道府県・政令指定都市等との比較

全地方公共団体や都道府県、政令指定都市の年収とも比較してみました。

それが下の表です。

 

団体区分 平均給与月額 期末・勤勉手当
(千円未満切り捨て)
平均年収
(千円未満切り捨て)
全地方公共団体 400,860 151.7万 632.7万
都道府県 413,722 164.5万 660.9万
政令指定都市 430,033 171.2万 687.2万
中核市 404,781 161.9万 647.6万

参照:総務省HP「令和2年地方公務員給与実態調査結果等」(中核市は独自に集計)

全市の平均で見ると、政令指定都市や都道府県よりは低いものの、全地方公共団体の平均よりは高いことがわかります。

上位約3分の1の市に限れば、都道府県の平均よりも高年収です。

そう考えると、地方公務員全体の中では、中核市職員の年収は決して低くはないと言えそうです(もちろん、自治体によってかなり差はありますが)。

まとめ

今回は、中核市職員の年収について調べてみました。

まとめると以下のようになります。

  • 中核市(全62市)の平均年収は約648万円。都道府県や政令指定都市の平均よりは低いが、全ての自治体の平均よりは高い。
  • 年収700万円台の市がある一方で、500万円台のところもあり、自治体によってかなり差がある。
  • 中核市の中では、年収の高い市は近畿地方に多い。
  • 逆に年収の低い市は、東北や九州地方などに多い。
  • 地域差に比べると、人口の多さ(自治体の規模)と年収の高さはそこまで関係ない

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
ローニン
某県庁で5年働いた後、文系大学院に進学。その後、なんだかんだあって雑文家(令和の三文文士)になってしまったアラサー男です。 公務員関連の情報を中心に書いています。noteもやっています。