公務員の世界では飲み会が盛んです(少なくともコロナ禍以前はそうでした)。
コロナ禍で飲み会がめっきり少なくなりましたが、感染拡大が収まってくると、また飲み会の機会が増えてくるかもしれません。
しかし、若手の職員の中には、職場関連の飲み会に慣れていない方も多いのではないでしょうか?
また、役所の飲み会がどんな感じなのか気になる公務員志望の方もいると思います。
そこでこの記事では、元県庁職員の僕が、主に地方公務員の飲み会事情について5つのパターンに分けた上で、若手職員や幹事などが注意すべき点なども解説します。
公務員の飲み会の実態に興味のある方は参考にしてみてください。
この記事ではあくまでも、コロナ以前の飲み会事情について書いていきます(僕が役所にいたのがコロナ前だったため)。
コロナ禍以後の飲み会がどんな感じになるのかはわからないので、参考までに読んでいただければ幸いです。
公務員の飲み会5パターン
公務員の飲み会は参加者の属性などによって、大きく次の5パターンに分けられます。
- 部署(課)全体での飲み会
- 外部の関係者との飲み会
- 同期もしくは年の近い同僚との飲み会
- 高校や大学の同窓会
- 合コン
パターン① 部署(課)全体での飲み会
よくあるのが部署全体での飲み会です。
本庁なら課の単位、出先機関なら事務所単位で開かれます。
年度替わりの歓送迎会や年末の忘年会、7、8月ごろの暑気払いなどが典型です。
基本的には和やかな雰囲気なので、若手でも変に緊張する必要はありません。
お酒が苦手なら「飲めません」と言えば無理に飲まされることもありません(役所もアルハラなどにかなり厳しくなっているので)。
タイミングを見計らって上司や年配の職員にお酒を注ぎに行けば高ポイント(?)でしょう。
ただし、幹事になってしまうと大変です。
参加人数を事前に把握し、会場を押さえ、開催内容を事前に告知するなど、いろいろと手間がかかるからです。
特に、歓送迎会は比較的かしこまったスタイルになることが多いので、座席表の準備や開始と中締めのあいさつ、乾杯の音頭の段取りなども決めておかなければなりません。
さらに僕のいた役所では、異動が決まった人や退職者に餞別を渡す慣習があったため、その準備も必要でした。
部署単位だと人数が結構多くなるので、店選びは早めにやっておいた方が無難です。
4月の歓送迎会は役所近くのホテルの宴会場で行うことが多く、それ以外は大部屋のある比較的グレードの高い店がメインでした。
ホテルや高級なお店だと会費が気になる方も多いかもしれません。
しかし、たいていどこの部署でも、毎月各職員の給料から一定額(僕のいた役所では月給の1%)を天引きし、それを元手にしているため、飲み会の度に出費がかさむことはありません。
逆にいうと、飲み会に参加しないと天引きされた分損をするということです。
なお、先に書いた異動・退職する職員への餞別も、この天引きされたお金が元手になっています。
パターン② 外部の関係者との飲み会
他の役所や民間企業などと頻繁にやりとりする部署では、仕事の相手先と飲む機会もあります。
場合によっては、県議会などの議員主催の飲み会に行くこともあります。
正直、このパターンが一番疲れます。
というのも、相手方のお偉いさんを中心にお酒を注ぐついでに挨拶に行ったり、お酒を作ったりしなければならず、なかなか気が抜けないからです。
新人の頃は動きが悪く、上司によく注意されていました(今でも大して気は利きませんが…)
ただ、外部の関係者と飲みに行く機会がほとんど、あるいは全くない部署も結構あります。
僕が本庁で所属していた課は、他の役所(国・市町村など)や某大手の民間企業とやり取りすることが多く、そうした関係者との飲み会が頻繁に催されていました。
県の部長や県内の市町村長の出張に随行し、他県のお偉いさんも交えた懇親会に出たり、地元の住民団体の幹部や民間企業の役員などがいる飲み会に参加したりしたこともありました。
ひどいとき(?)には、ひたすら偉いおじさん方の飲む焼酎のお湯割りを作り続けていたこともあります(自分はほとんど飲み食いできず…)。
一方で、異動先の出先機関の事務所では、外部の人と飲むことは一度もありませんでした。
他の部署にいた同期などと話した限りでは、本庁でも外部の人と飲む部署はそこまで多くないようです(ただし、幹部職員は別です)。
このあたりはほぼ運に左右されます。
外部の人と飲む機会が多い部署に入ってしまった場合は、一種の社会勉強だと思って諦めましょう(笑)
とはいえ、民間企業のいわゆる「接待」に比べれば、だいぶ楽だと思います。
パターン③ 同期もしくは年の近い同僚との飲み会
同期や同じ部署の年齢の近い同僚と飲みに行くこともよくあります。
当たり前ですが、これが一番気楽です。
1年目の最初の研修で同じクラスになった人と仲良くなり、そのメンバーを中心に飲みに行くことが多かったです。
また、部署内の若手職員(役職で言うと「主事」)で飲みに行くこともしばしばありました。
こうしたつながり以外にも、飲みたがり(?)の職員が部署を横断して若手職員の飲み会を企画するなど、いろいろと集まる機会がありました。
パターン②はほぼ強制参加ですが(笑)、こちらは仕事とは関係ないので、気が向いたときに気軽に行けばOKです。
パターン④ 高校や大学の同窓会
OB・OGの職員が多い高校や大学単位での同窓会もあります。
特に地方公務員の場合、地元の同じ高校を出ている人が多いため、高校単位の同窓会が盛んです。
若手から年配の職員まで含め、「〇〇高校卒業生」というくくりで集まるようです。
「ようです」と書いたのは、僕の場合卒業した高校も大学も役所内では少数派であり、同窓会がなかったためです。
こうした同窓会は、参加しなくても特に問題ありません。
地方公務員の世界では、(出世に有利になるという意味での)「学閥」は基本的にないからです。
役所内の人脈を広げたい方は参加しても良いと思います。
なお、地方公務員の学閥については以下の記事で詳しく解説しているので、ご関心の方は読んでみてください。
パターン⑤ 合コン
「合コン」という名の飲み会もあり、一部のチャラい職員は積極的に参加しています。
同期や同僚のツテで役所外の人と会うパターンもあれば、(③に近いですが)同じ役所の職員同士でセッティングされることもあります。
また都道府県職員の場合、県庁所在地の市役所職員との合コンもよくあるパターンです(勤務地が近いため)。
ちなみに、公務員との合コンはつまらないと一部ではささやかれています(笑)
以下の記事ではその理由などを書いているので、ご関心の方は読んでみてください。
飲み会の注意点など
以上でご紹介した公務員の飲み会には、いくつか注意点もあります。
具体的には次の5点です。
- 会費は事前に集める(幹事の場合)
- 個室を予約する(幹事の場合)
- 外部の人におごってもらってはいけない
- 飲み会翌日(もしくは週明け)には一言あいさつ
- 粗相はしない
①会費は事前に集める(幹事の場合)
パターン①や②の飲み会で幹事になってしまった場合、会費は事前に集めるのがベターです。
というのも、飲み会の最中だと(自分も含め)皆酔っていたり席を移動していたりするので、一人ひとり集めに回るのが大変だからです。
また後日集める場合、飲み会当日は自分が立て替えなければなりません。
人数が多いと合計の金額も高くなるので、手持ちが足りなくなる可能性もあります。
会費を集めやすいように、(また後述の③の理由からも)「1人〇千円」といったようなコースにしておいた方が良いでしょう。
②個室を予約する(幹事の場合)
これもパターン①や②の場合ですが(⑤の合コンも?)、個室を予約するのも鉄則です。
なぜなら公務員の場合、仕事の話を他人に聞かれるのはなるべく避けたいからです。
外部の人と飲みに行くときは特に気を付けなければなりません(現状ではオープンにできない業務上の話題を話し合うこともあるため)。
できれば完全個室、最低でも仕切りなどで個室型にできる店を予約しておく必要があります。
大人数の場合は宴会場のある店のほか、小さい店を貸し切りにするのもありです。
③外部の人におごってもらってはいけない
当然ですが、公務員は外部の人に絶対におごってもらってはいけません。
正確に言うと、「利害関係に当たる人」からの接待は「国家公務員倫理法」で禁じられており、地方公務員も基本的には国家公務員と同様の規定が適用されます。
「利害関係」というとややこしいですが、仕事で関わる人から接待(おごってもらうなど)を受けるのはアウトだと考えておいた方が良いでしょう。
そのため、仕事上の関係者と飲みに行くときは割り勘が原則です。
④飲み会翌日(もしくは週明け)には一言あいさつ
③に比べるとかなりライトですが、飲み会の翌日(金曜の場合は週明け)には上司などに一言「昨日はお疲れさまでした」といったあいさつをしておきましょう。
言わなくても何か問題になるわけではありませんが、一言言うだけで印象が良くなります。
⑤粗相はしない
これも当たり前ですが、粗相をするのもNGです。
公務員が酒に酔って何かやらかしてしまうと、一般市民の信頼を失うからです。
仕事上の飲み会はもちろん、プライベートの場でも気をつけないといけません。
と言いつつ、僕も同期との飲み会などではやらかしてしまったことが多々あるので、偉そうなことは言えませんが…(ただ、さすがに外部の人との飲み会では気をつけていました)。
おわりに
今回は公務員の飲み会事情について、僕自身の実体験をもとに解説してみました。
最後に付け加えると、公務員には経費という概念がありません。
パターン①のようにあらかじめ給料から天引きされる場合もありますが、いずれにしろ飲み代はすべて自腹で払います。
さらに割り勘が鉄則なので、若手職員の安月給だと財布がピンチになるおそれもあります。
このあたりは公務員の辛いところです。
コロナ以後の飲み会事情がどうなるかはわかりませんが、飲み会をやる場合には従来とそれほど大きく変わることはないと思われるので、この記事が参考になればうれしいです。
※なお、二次会事情については以下の記事で書いていますので、興味のある方はあわせて読んでみてください。